ブックタイトルDental Products News 特別号Vol.11

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概要

Dental Products News 特別号Vol.11

1979年東北大学歯学部卒、1998年東北大学教授(口腔診断学)。これまで、東北大学歯学部附属病院長、東北大学歯学部長、東北大学大学院歯学研究科長、東北大学病院総括副病院長、日本口腔診断学会理事長などを歴任。長年の研究にもとづいた診療技術はテレビや新聞などに数多く報道されている。現在は、医療法人徳真会グループ あすと長町デンタルクリニック、クオーツタワー 青山クオーツデンタルクリニック等の歯科診療所にてご診療の傍ら、医療法人 徳真会顧問、NPO法人うま味インフォメーションセンター理事、東北大学名誉教授を兼務。東北大学名誉教授/医療法人徳真会グループ 医療法人明徳会理事長  笹野 高嗣味覚障害と唾液の深い関係歯科医院ではじめるドライマウス治療Fig.1 実際の症例(72歳 女性) 現病歴等Fig.3 診断および治療Fig.2 検査結果等舌が焼けるように痛い、味が分からない良く聞くドライマウスとはどういうものであるのか?今回はその診断とすぐに実践できる治療法について解説したいと思います。高齢者のドライマウスは、味覚障害と同様、総人口の40%ほどの患者さんがいらっしゃると推計させています。しかしながら、このような症状があっても、内科・歯科・耳鼻科、どこの科を受診したらよいかわからないという患者さんも多く、長年苦しんでいる方も大勢いらっしゃいます。歯科医院で早期に診断、対応できることは数多くあります。「口の中が灼けるように痛い」「味がわからない」「話にくい」などの症状を訴える方にはまずお薬手帳を確認し、服用している薬に口渇の副作用がないかを確認するとともに、食事のときにも同様の症状があるかどうかを問診します。可能であれば唾液分泌量検査を安静時とガム刺激時の両方で測定します。もしもガム刺激でも分泌量が上がらない場合は、シーグレン症候群などの可能性がありますので、専門診療科への紹介が必要ですが、ガム刺激時や食事時に唾液分泌量が増加するようなケースでは、ドライマウスの可能性が高いので歯科での対応が可能です。今回は症例と合わせて、歯科医院でできるドライマウス患者への対応を紹介させていただきます。2016年8月 舌の灼熱痛を自覚し、大学病院口腔外科を受診したが、異常なしとされ経過観察することとなった。改善がないため複数の内科・耳鼻科・歯科を受診。「あなたの症状は一生治らない」「精神的な背景があるのでは?」と医師から言われ、うつ病と診断された。うつ病の薬を処方されたが、ますます舌の灼熱感がひどくなり、体重も7kg減少したとのこと。口が渇き、味もわからなくなった。2017年4月 家族に付き添われて、東北大学病院口腔診断科受診 唾液分泌量  自然唾液: 0.6mL/ 10min (基準値は 1.0mL / 10min ) ガムテスト:11.8mL/ 10min(基準値は 10.0mL/10min )真菌検査(スワブ検査) 陽性 Candid albicans (2+)疾患および服用薬剤 高血圧(ロサルタン)、 慢性胃炎(六君子湯、安中散) 味覚障害(プロマックD) 不眠症(リーゼ、レンドルミン) うつ病(ドグマチール) 食欲不振(エンシュアリキッド)* Introduction *2週間後口腔症状および検査結果から、ドライマウスおよびカンジダ感染と診断し、抗真菌薬(ファンギゾンシロップ)の投与と昆布だしによる唾液分泌訓練を実施してもらった。わずか2週間で唾液分泌量が増加し、口腔乾燥感・灼熱感は完全に解消され、患者および家族から大変感謝された。