ブックタイトルDental Products News 特別号Vol.10

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概要

Dental Products News 特別号Vol.10

スタンフォードと睡眠医学アメリカスタンフォード大学医学部精神科教授睡眠・生体リズム研究所所長西野精治スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所(SNCL)所長。1955年大阪府出身。1987年、当時在籍していた大阪医科大学大学院からスタンフォード大学精神科睡眠研究所(現研究所の前身)に留学。突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。1999年にイヌの家族性ナルコレプシーにおける原因遺伝子を発見し、翌2000年にはグループの中心としてヒトのナルコレプシーの主たる発生メカニズムを突き止めた。2005年にSNCLの所長に就任。睡眠・覚醒のメカニズムを分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究している。2017年に出版された、一般向けの睡眠啓蒙書「スタンフォード式」最高の睡眠民(サンマーク出版)は30万部を超えるベストセラーとなり、本で紹介された「睡眠負債」が同年の流行語大賞のトップテンに選出された。●睡眠は、時間にムを与えている。起こされる個人の睡眠の量、質、またはして人生の約1/3を占めており、心身の健康に欠くことができない重要な生理現象である。地球の公転や自転に合わせた身体の生理的なリズムを生体リズムと言い、体の多くの機能に活動と休息のリズ一方、睡眠・生体リズムは外因性要因、心理的ストレスや身体疾患等によって、容易に乱れやすい。睡眠・生体リズム障害とは、内的もしくは外的なさまざまな要因によって、引き睡眠に関連した生体リズムの乱れを特徴とする一連の症状群として定義される。今回は、睡眠障害の具体例を挙げ、QOLについて考えてみたいと思う。Fig.?スタンフォード大学睡眠研究所Fig.?睡眠のパターンと睡眠の役割睡眠研究所ヒト睡眠研究部門睡眠外来William C.Dement, M.D., Ph.D.Emmanuel Mignot, M.D., Ph. D.Clete Kushida M.D., Ph.D.Maurice Ohayon M.D., Ph.D.Jed Black, M.D. Christian Guilleminault, M.D.Rafael Paleyo, M.D. Rachel Manber, Ph.D.Clete Kushida M.D., Ph.D.精神科ナルコレプシー研究所睡眠・生体リズム部門Laura Roberts, M.D., Department ChairEmmanuel Mignot, M.D., Ph. D.Seiji Nishino, M.D., Ph.D.Department of Comparative MedicineSeiji Nishino, M.D., Ph.D.SCORE Facility睡眠の深さ浅ノンレム睡眠レム睡眠ノンレム睡眠レム睡眠ノンレム睡眠レム睡眠ノンレム睡眠レム睡眠睡眠ミッション1脳と体に「休息」を与える2「記憶」を整理して定着させる3「ホルモンバランス」を調整する4「免疫力」を上げて病気を遠ざける5「脳の老廃物」をとる睡眠小児外来外科部門Rafael Pelayo M.D..Nelson Powell D.D.S., M.D. Robert Troell M.D.Robert Riley D.D.S., M.D. Kasey Li D.D.S., M.D.生物学部門教育部門Craig Heller, Ph.D.Bruce O”Hara, Ph.D.Paul Franken, Ph.D.Sharon Keenan, Ph.D.ノンレム睡眠:深い眠りで、明け方に近づくと浅く短くなる深レム睡眠:浅い眠りで明け方に近づくと長くなる0:001:306:00(時刻)ノンレム睡眠:脳も身体も休息レム睡眠:脳は活動、身体は休息1972年アメリカで先駆けスタンフォード大学睡眠研究所の設立。レム睡眠を発見したデメント先生らを中心に、睡眠医学が医学として認識されるようになった。現在、大学には睡眠研究所には10部門があり、教育・研究・臨床とが密接にかかわり、日々研究がされている。一番深い眠りのノンレム睡眠は就寝直後の約90分。脳も身体も休息し、成長ホルモンが放出される時間帯。レム睡眠は、脳は活動しているが身体は休息し、記憶の定着が行われる時間帯として重要である。Fig.?睡眠障害は一般市民に影響を与えている最も一般的な睡眠障害(米国)日本における睡眠に関する諸問題Fig.?死亡率・肥満度(BMI)と睡眠時間女性(636,095人)肥満度(BMI)男性(480,841人)肥満度(BMI)不眠9?15%不眠20%死亡危険率死亡危険率閉塞性無呼吸10?20%日中の過度の眠気2.5?15%レストレッグス症候群2?5%睡眠不足(<6時間)30%分布分布ナルコレプシー0.02?0.06%主観的睡眠不足感23%Mignot, 2002 Kaneita, 2005; Liu, 2000; Kim, 2000米国では「閉塞性無呼吸患者」の多くは肥満が原因だが、アジア人は気道は気道が狭いことが原因、痩せていても閉塞性無呼吸患者が多い。また、日本人は世界からみても圧倒的に睡眠時間が短い。睡眠時間睡眠時間Kripke DF et al. Arch Gen Psychiatry (2002)【睡眠不足による弊害1】死亡率・肥満度と睡眠時間の関係6年の追跡調査の結果、特に女性は肥満度と死亡危険率に相関関係あることが判る。適正な睡眠時間は7時間といえる。Fig.?不眠は身体疾患や精神疾患のリスクファクター不眠があると、精神障害(うつ病・不安障害など)の発症率が高くなる(%)181614発12症10率86420ΟΡ95%Χ精神的な障害のリスクファクターとしての不眠1)対象・方法:米国ミシガン州の保険維持機構に属する21~30歳の男女40万人から無作為に1,200人を抽出し、インタビューの結果から睡眠障害と精神障害の関連性を評価したBEL14SS026-1115うつ病3.952.22?7.0不安障害1.971.08?3.6アルコール依存1.720.85?3.52■不眠を患っていない■不眠を患っている薬物依存7.182.13?24.171) Breslau N et al. Biol Psychiatry 1996;39(6):411-418.より改変【睡眠不足による弊害2】睡眠不足と身体疾患・精神疾患のリスクファクターとの関わり。いずれも不眠により発症率が高くなる。Fig.?睡眠時無呼吸症候群の治療効果■長生きに役立つ中等~重症の睡眠時無呼吸症候群を、治療せずに放置しておくと、8年後には約40%の割合で死亡していますが、CPAP治療を正しく行うと、睡眠時無呼吸の無い一般の人とほとんど同じ程度に生きられることが知られています。無呼吸症候群と合併症の割合心筋梗塞脳血管障害心臓冠動脈障害高血圧4倍4倍3倍2倍【睡眠不足による弊害3】睡眠時に5秒以下の呼吸が止まるのは範囲内。睡眠時に5秒以上の呼吸が止まる中等~重症患者が、治療せずに放置しておくと7~8割が心筋梗塞や脳血管障害などにより死亡することが報告されている。早めにC-PAPなどの治療が求められる。