Dental Products News 特別号 page 4/28

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Dental Products News 特別号

健康も不健康も口からやってくる歯科天野敦雄大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学分野教授／大阪大学大学院歯学研究科長・歯学部長口は健康の入り口、魂の出口と言われます。美味しく食べ、楽しく暮らし、そして健康に生きるためには口の健康が不可欠です。歯周病2001年ギネスブック人類史上最大の感染症地球的規模で蔓延日本の成人80%歯周病45%歯周炎10%中・重度歯周病歯周病は、「慢性」の炎症であるため、全身に及ぼす影響が大きいと考えられます。歯周病の80％は確実に治療ができる病気です。歯周病の原因歯周病の主な原因として考えられている「口腔内の細菌バランスの崩壊」は、口腔内での出血が引き金になっています。歯周病菌がどの様にして増殖し、バイオフィルムの病原性を高めているかをご紹介します。1歯周病因論の変遷1930年頃歯石1960年頃プラークの量（非特異細菌説）1975年頃歯周病原性菌（原因細菌説）1990年頃歯周組織の抵抗力（遺伝、全身疾患などの影響）歯周病の原因2000年頃共生関係の破たん（歯周病菌とヒトの共生）2歯周病の原因｢Biofilm vs歯周組織｣の均衡崩壊均衡歯周組織Biofilm健康均衡崩壊弱くなった歯周組織歯周病病原性が高くなったBiofilm時代によって、歯周病の病因論は変化してきた。現在では「口腔内の細菌のバランスが壊れると」歯周病が発症すると考えられている。3 P. gingivalis感染経路45ポケット内の出血直接感染●ディープキス●口移しP. gingivalisは赤血球ヘモグロビンのヘミン鉄が必須栄養素間接感染●食べ物についた唾液●食事道具についた唾液●直箸ヘミン鉄が無いと増殖困難・低病原性歯周病は起こせない出血P. gingivalisは18歳以降に唾液感染する。鉄は歯周病菌の必須栄養素。歯周ポケットの上皮が剥がれると潰瘍ができ出血する。血液中に含まれる鉄分とタンパク質を栄養素として歯周病菌は増加していく。6 7歯周炎の進行P. gingivalis免疫抑制病原性の高いBiofilm（P. gingivalisの増殖）低病原性バイオフィルムP. gingivalisがバイオフィルムの中で増殖歯周組織の免疫力が低下するため、たくさんのバイオフィルム細菌が増殖しバイオフィルムが高病原化する細菌病原因子IL-1βIL-6IL-8IL-4IL-5IL-12IL-15IL-17IL-18IL-33RANK RANKL歯周組織自然免疫・獲得免疫サイトカインの嵐慢性炎症が組織を破壊IL-21IL-9IL-32TNF-aIFNγ大量のサイトカインが全身へ増殖したP. gingivalisが歯周組織の免疫を抑制し、他のバイオフィルム細菌を増殖させる。本来、サイトカインは歯周病から身体を守るために産生されるが、大量に産生されることで自身を破壊するようになり、血流に乗って全身へ運ばれていく。02