ブックタイトルDental Products News 特別号Vol.9

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概要

Dental Products News 特別号Vol.9

ヒトゲノムが解析されさまざまなことが明らかになりましたが、それだけでは不十分です。遺伝子が発現するにはゲノムに上書きされた情報である「エピジェネティクス」が必要なのです。アサガオの模様、女王バチへの成長、記憶や学習・ストレス応答など、さまざまな生命現象にエピジェネティクスが関与していることがわかっています。歯科のエピジェネティクスの関係は「発生学・歯周病・扁平上皮がん」の論文が多少ある程度ですが、がんや糖尿病などさまざまな病気に影響していることを踏まえると歯科との関係も深い。将来解明されるであろう歯科とエピジェネティクスを期待し、そもそもエピジェネティックスとは何か?と解説したいと思います。DNA06出生体重時の体重が影響する07『胎内低栄養環境と成人病素因の形成』福岡秀興日産婦誌2008年9月号DNAがんは遺伝子の突然変異によって発症する病気であるがん遺伝子、ガン抑制遺伝子とは正常な細胞がん化した細胞がん原遺伝子がん遺伝子細胞が増えるためのアクセル放射線、紫外線、発がん物質がん原遺伝子に傷がつくとがん遺伝子に変化し暴走するがん抑制遺伝子細胞が増えすぎないためのブレーキがん制御遺伝子が壊れ止まらなくなる出生体重と2型糖尿病発症リスクの相関1966年から2005年におこなわれた疫学研究のメタアナリシス5~6個の、がんの発症に関係する遺伝子の変異が必要であると考えられている。放射線影響研究所のHPから出生時の体重が極端に大きくても、小さくても成人になったときの糖尿病リスクが高いという報告。細胞増殖に関係する遺伝子が突然変異することでがんが発症する。それだけではなくエピジェネティクスも大きく関与していることが判ってきた。DNA08エピジェネティクスは子孫に引き継がれない09DNAエピジェネティクスを理解するための用語集受精後、ダイナミックなDNAメチル化の変化が起きる。これにより、エピジェネティクスは子孫に引き継がれない。受精卵となった時点ですべての情報がリプログラミングされ、全能性細胞となる。このリプログラミングを活用したものがiPS細胞。・DNA:デオキシリボ核酸の略称。遺伝情報を蓄える分子。A(アデニン)、C(シトシン)、G(グアニン)、T(チミン)の4つの塩基からなる。・ゲノム:細胞核内の全遺伝情報。ヒトでは、約60億塩基対が遺伝情報をコードしている。・遺伝子:タンパク質をコードする核酸のユニット。ヒトには、およそ2万個の遺伝子が存在する。・ヒストン:DNAが巻き付いているタンパク。かつては、構造的な意味しか考えられていなかったが、ヒストンコードとして、遺伝子発現に関与している。DNA10エピジェネティクス研究の面白さと難しさ・多くの現象や疾患に関係してそう・未知の領域がたくさん残されている・エピジェネティクス創薬の可能性・エピジェネティクスであろうといわれている現象は多いが確たるエピデンスは少ない・DNAメチル化やヒストン修飾の程度の変化をどれくらい積極的に考慮できるか・歯科領域での研究はこれから・エピゲノム解析でわかるのか・なんでもかんでもエピジェネティクスと考えすぎていないか・ゲノム情報との組み合わせ細胞レベルでの成り立ちや作用が判明することで、多くの新薬や病気の治療法が解明されつつあります。反対にまだまだわからないことも多く、それだけに将来の解明が待望されている分野です。今回は、エピジェティクスの原理、細胞分化については割愛させていただきましたが、疾病、ダイエットなどあらゆる私たちの体に関与していることは明らかです。これをきっかけに少しでも興味をもってくださったら幸いです。