ブックタイトルDental Products News 特別号
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Dental Products News 特別号
最新の歯周病因論2001年、人類史を俯瞰するギネスブックに『全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない。』と記載された。歯周病は人類史上最も罹患者の多い感染症にもかかわらず、その病因論は長い間はっきりしていなかった。しかし、21世紀の科学はようやく歯周病菌と歯周組織の戦いの様子を明らかにしてくれ始めた。Ⅰ.歯周病の原因20世紀末、歯周病菌の主役はPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis)であることが判った。細菌検査の進歩により、P. gingivalisは18歳頃にヒト口腔に感染することが示され、多くの健康な口腔からも検出された。そのため、今ではP. gingivalisは思春期以降の口腔常在菌と考えられている。多くの人が歯周炎発症の危険を抱えているのである。Ⅱ.歯周炎発症の時バイオフィルム細菌は互いの代謝物を相互に利用して、だんだんとバイオフィルムの病原性を高める。そして、遂に歯周ポケットに出血が起こる。歯周病菌には鉄分とタンパク質が必須栄養素であるため、ヒト血液からヘモグロビン鉄と血清タンパクを摂取することができるようになる。血液を供給されたP. gingivalisなどの歯周病菌は、勢いよく増殖し、歯肉縁下バイオフィルムの病原性を著しく増強させる(バイオフィルムの高病原性化)。この時より高病原性バイオフィルムと宿主との長く厳しい戦いが歯周組織を舞台として開始される。Ⅲ.歯周治療の目標歯周ポケット内に血液が供給され続ける限り、バイオフィルムの高病原性は持続し、歯周炎は慢性化し進行する。歯周炎を止めるには、歯周治療によりポケット内潰瘍面を閉鎖し、歯周病菌への血液の供給を絶たなければならない。栄養源を失ったバイオフィルムは歯周炎発症前の低病原性状態となり、歯肉炎症は解消に向かう。Ⅳ.歯周病は完治しないバイオフィルムから歯周病菌を完全に駆逐することは困難である。また、歯周病菌は歯周組織の細胞内に侵入し生存し続ける。原因菌は駆逐できないのである。歯周炎という感染症には完治がないことを意味している。Ⅴ.まとめ歯周炎は「歯周病菌と歯周組織の拮抗」が崩壊した時に発症する。バイオフィルムの病原性を低い状態に保つことが歯周管理の方策である。5 6口臭の診断目で見るプラークの変化1歯周炎/初診2超音波スケーリング後3歯周初期治療終了43ヶ月後リコール歯周病は意識していなくても口臭を気にしている人は多い。「ビニール袋とストローを用意して、息を吐いてもらい、ご自身の息を嗅いでもらう。」これだけで、歯周治療の重要性の理解度は深まる。スケーリングを行い、定期的なメインテナンスを行うことで、細菌数が顕著に減少していくことを説明する。7 8生理的口臭:舌苔チェアーサイドでの舌磨き18歳50歳70歳唾液分泌減少が主原因舌苔は唾液分泌量の減少であることを説明する。特に高齢者には薬の副作用によるドライマウスは細菌の増加や口臭の原因、誤嚥性肺炎のリスクなどを解説する。ガーゼで優しく舌磨きをするだけで、舌苔の存在やケア方法を簡単に紹介できる。03