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概要

DPN CAMBRA特集号Vol.1

●参考文献Featherstone JD, White JM, Hoover CI et al. A randomized clinical trial of anticaries therapies targeted according to risk assessment (caries management by risk assessment). Caries Res. 46(2):118-29, 2012.天野敦雄.病因論の観点から CAMBRAの利点と課題.ザ・クインテッセンス 35(5): 74-75, 2016.天野敦雄:歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト【増補改訂版】.クインテッセンス出版,2020.■ 21世紀のキーワード: microbial shiftバイオフィルムの病原性が高くなることをmicrobial shiftと呼びます(図3)。microbial shiftによってバイオフィルムと歯・歯周組織の間の均衡が崩れ、う蝕や歯周病が発症・進行します(図4)。う蝕のmicrobial shiftを引き起こすのは砂糖だけではありません。最新のう蝕病因論をアップデートしましょう(表1)。■ う蝕の均衡バランスを 保つためにはう蝕という疾患は「脱灰と石灰化のバランスが偏っている状態で有り、う蝕=う窩ではない」のです。脱灰因子と防御因子(脱灰を防ぎ石灰化を促進)の間の均衡バランス崩壊が、う蝕なのです(図5)。脱灰因子を減らし(microbial shiftを許さない)、防御因子を増やす(歯を強くする)ことで均衡を守るのが予防歯科です。■ オーダーメイド予防歯科全ての人に同じ予防歯科を行うのはナンセンス。う蝕になりやすい人、なりにくい人がいます。患者さん一人一人の脱灰因子と防御因子を検査して、リスク測定をしてください。これからは、オーダーメイドでリスク管理をする予防歯科の時代です。■ 予防は治療削る・詰めるは「手遅れ」の後始末です。本当の治療はリスクを減らす予防歯科。患者さんの人生を通して健口を守り抜くことこそ、歯科医療人の使命です。図4 う蝕と歯周病の発症microbial shiftによりバイオフィルムが高病原化した結果、歯・歯周組織 とバイオフィルム の均衡が崩壊し、う蝕や歯周病が発症する。 (天野敦雄、貴島佐和子:デンタルハイジーン 36(7), 2016 より改変掲載)表1 う蝕原因菌とう蝕誘発性成分(昭和の常識と平成の常識)図5 う蝕の発生う蝕とは脱灰と石灰化の均衡バランスが偏っている状態である。脱灰因子と防御因子(脱灰を防ぎ石灰化を促進する因子)との均衡バランスの崩壊がう蝕を作る。図6 人生を通して均衡バランスを守る患者さんの人生は山あり谷あり。口の均衡バランスが崩れる時もあります。予防歯科はどんな時でも均衡を取り戻し、患者さんの健口を守ります。(天野敦雄 歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジー ダイジェスト 増補改訂版:クインテッセンス出版 2020.より転載)図3 microbial shiftmicrobial shiftとは、バイオフィルムを取り巻く環境変化(栄養・温度・pH・嫌気度など)によってバイオフィルム細菌が活発となり、バイオフィルムの病原性を高める現象のこと。microbial shiftによって、バイオフィルムは安定した状態(symbiosis)から乱れた状態(dysbiosis)へとシフトし高病原化する。う蝕原因菌● ミュータンス連鎖球菌● ラクトバチルス(乳酸菌)う蝕誘発性成分● 砂糖(ショ糖)う蝕原因菌● ミュータンス連鎖球菌● ラクトバチルス(乳酸菌)● ビフィズス菌● Scardovia wiggsiae● Actinomyces 種● Veillonella 種う蝕誘発性成分● 発酵性糖質  ショ糖、ブドウ糖、果糖、調理したデンプン昭和平成1