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概要

Dental Products News240

慢性炎症が全身の疾患を結びつける身体のどこかに慢性炎症があると、その部位で炎症性サイトカインが作られる。作られたサイトカインは血流に乗り、他の部位の慢性炎症を悪化させる。歯周組織から全身へ、全身から歯周組織へとサイトカインは体中の慢性炎症の間を相互に行き来して健康を害するのである。自己免疫疾患関節リウマチ乾癬全身の疾患は慢性炎症で繋がるメタボリックシンドローム肥満・糖尿病・高血圧脂質異常症がん発がん・転移クルクミンが炎症性サイトカインの産生を抑制(pg/ml)90IL-6動脈硬化性疾患虚血性心疾患・脳卒中慢性炎症歯周病神経疾患アルツハイマー病パーキンソン病60300200IL-1βクルクミンの抗炎症作用150100500クルクミンの抗炎症作用は既に知られているが、Pg菌による炎症に対する効果を検証してみた。マウス腹腔にPg菌(1×10 9 CFU)のみ、Pg菌とクルクミン(20μg/ml)、クルクミンのみを投与した3群を使って、投与24時間後にマウ30TNF-αス血清中の炎症性サイトカイン(IL-6、IL-1β、TNF-α)の量を測定した。いずれのサイトカインもクルクミンの添加により産生が抑制されていた。このことはクル20クミンが歯周組織の慢性炎症を抑制することを示唆している。100Pg菌のみPg菌とクルクミンクルクミンのみクルクミンの歯周病への効果クルクミンの歯周病への効果抗菌抗細胞侵入抗バイオフィルム第2回連載で紹介したPg菌に対するクルクミンの作用に加えて、クルクミンは抗炎症作用も発揮する。これらの作用は歯周病に対してだけではなく、歯周組織の炎症を抑制タンパク分解酵素阻害抗炎症することによって全身への悪影響を防ぐことも期待できる。参考文献1)天野敦雄:歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト【増補改訂版】.クインテッセンス出版,2020.2)Izui S, Sekine S, Maeda K, Kuboniwa M, Takada A, AmanoA, Nagata H.Antibacterial activity of curcumin againstperiodontopathic bacteria. J Periodontol, 87(1):83-90, 201【著書】天野敦雄:歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト【増補改訂版】.クインテッセンス出版,2020.天野敦雄:天野ドクターの歯周病絵本バイオフィルム公国物語.クインテッセンス出版,2019.本稿では触れなかったが、歯周病が全身疾患に関係する3つ目の理由として、Pg菌などの口腔内細菌が腸内細菌叢を乱して全身に悪影響を及ぼすメカニズムが報告されている。これについては「山崎和久教授、腸内細菌叢」のキーワードでネット検索して頂きたい。連載第4回は歯周病発症の予防と予測についてお話をさせて頂きたい。To be continuedDental Products News 240 3