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概要

Dental Products News240

Pg菌の細胞侵入に不可欠なジンジパインPg菌のもつ強力な毒性因子であるジンジパイン(タンパク分解酵素)は、図歯周組織を構成するタンパク質の分解Pg菌の強力な武器:ジンジパインコラーゲンなど歯周組織のタンパク質を分解することで、歯周組織が破壊され、歯周ポケットが深くなったり、歯肉退縮が起こったりする。にあるように歯周病の発症・進行に深く関与している。今回注目したいのは、ジンジパインはPg菌の細胞侵入、歯歯周ポケットの止血阻害鉄分と良質なタンパク質を含む血液はP.gingivalisにとって最高の食料。ポケットからの出血が止まったら一大事。そうならないように、出血を止める宿主タンパク質を分解して、止血を阻害する。ジンジパインジンジパイン周組織侵入にも必要な酵素であることである。つまり、ジンジパインの活性を阻害できれば、Pg菌の血管細胞への侵炎症反応の亢進歯周組織には免疫活性を上げて炎症を亢進するレセプターがある。このレセプターは簡単には発動しないように、スイッチは非常扉のドアのようにタンパク質の鎖で封印されている。ジンジパインはその鎖を分解して過剰な炎症を誘導し、歯周病を進行させる。レセプタージンジパインジンジパイン入による全身疾患の悪化を抑制できる可能性がある。免疫系タンパク質の分解P.gingivalisを排除しようとする免疫成分(抗体、補体、サイトカインなど)もタンパク質で構成されているため、それを分解することで、宿敵を減らし、P.gingivalisは自分の身を守っている。また、骨吸収を防いでいるタンパク質も分解し、骨吸収を促進する。イトジンジパインカインジンジパインサイトジンジパイン栄養素の獲得タンパク質を分解し、ペプチドを得ることで、P.gingivalisの栄養素とする。ジンジパインペプペPGチプチドプジンジパイン活性(%)クルクミンのPg菌への効果ジンジパインRジンジパインK1008060402000 20 0 20クルクミン濃度(μg/ml)参考文献2より引用改変クルクミンがジンジパイン活性を阻害ジンジパインにはジンジパインRとジンジパインKの2種類がある。クルクミンは両方のジンジパインのタンパク質分解活性を阻害する。それによってクルクミンがPg菌と全身疾患との関係を阻害してくれることが期待できる。実はクルクミン、歯周病への応用が検討されるずっと前から、抗炎症作用、抗酸化作用、抗腫瘍作用、抗菌作用などさまざまな生理活性を発揮することが報告されており、薬としての応用が検討されている成分なのである。歯周病が全身疾患に関係する理由2:サイトカイン歯周病は炎症性疾患である。歯周組織に慢性炎症が起こると、炎症性サイトカインが歯周組織の細胞から産生される。このサイトカインは炎症を亢進させる。歯周組織のサイトカインは血流に乗って全身に運ばれ、様々な臓器の炎症を亢進させると考えられている。新型コロナウイルス感染によって肺に炎症が起こった場合、歯周組織由来のサイトカインが肺炎を増悪化してコロナ感染症が重症化するメカニズムが、現在検証されている。歯周病が全身疾患に関係する理由2サイトカイン歯周組織のサイトカインが全身へ参考文献1(p.133)より引用2Dental Products News 240