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概要

Dental Products News240

【連載】ビジュアル歯肉縁下バイオフィルムの世界バイオフィルムは君主社会第3回天野敦雄大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教授Prologue最強にして最恐の歯周病菌Pg菌。その病原性は口の中だけにとどまらず、全身にも悪影響を与える。Pg菌は糖尿病、関節リウマチ、アルツハイマー病、動脈硬化などの深刻な病気と関係していると報告されている。おまけに新型コロナ感染症を重症化させる可能性も指摘されている。第2回連載でウコンの成分、クルクミンを紹介した。クルクミンに触れたPg菌は増殖を阻害され、バイオフィルムの形成や歯周組織の細胞への侵入も阻害される。このクルクミン、Pg菌の全身疾患への影響にも効果があるのだろうか。最恐の歯周病菌Porphyromonas gingivalis(Pg菌)Keystone pathogenPg菌とは何者?第1回連載でご紹介したように、Pg菌は歯肉縁下バイオフィルム細菌の中で最も歯周病原性が高い細菌種である。バイオフィルムが高病原性に変化し歯周病発症に向かう時、この菌が高病原化の中枢を担っていると考えられている。そのためPg菌はkeystone pathogen(訳:要となる病原菌)と呼ばれている。Pg菌の名前の由来私達の名前に由来があるように、細菌の名前にだってれっきとした由来と意味がある。苗字のポルフィロモナスは鉄が好きな個体という意味。名前のジンジバーリスは歯肉(ジンジバ)が由来である。このことはあまり知られていないので、お話した。名前の由来を知ってPg菌にもっと興味が湧いてきてくれることを期待している。名前の由来Porphyromonas gingivalis(Pg菌)(ポルフィロモナスジンジバーリス)苗字:PorphyromonasPorphyro+monas(ポルフィリン鉄)+(個体)意味:ポルフィリン鉄が好きな奴名前:gingivalisgingiva(歯肉)意味:歯肉に住む奴クルクミンのPg菌への効果抗菌タンパク分解酵素阻害抗バイオフィルム抗細胞侵入Pg菌の天敵:クルクミン第2回連載でご紹介したクルクミン(ウコンに含まれるポリフェノール成分)。Pg菌に対して、抗菌作用、バイオフィルム形成阻害、Pg菌のタンパク分解酵素(ジンジパイン)の活性阻害、Pg菌の細胞侵入阻害の生理活性がある。これほど、Pg菌の邪魔をするクルクミンはPg菌の天敵と呼んでもよいのではないだろうか。今回の連載でもクルクミンが登場する。