ブックタイトルDental Products News239
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Dental Products News239
今だからこそ考える!口腔ケアの重要性COVID-19C O R O N A V I R U S鶴見大学歯学部探索歯学講座教授花田信弘1.はじめに減らすことにも意味がある。唾液中のウイルス量の低減に有効ないくつかの洗口剤管系(循環器系)、呼吸器系、消化器系の3方向から全身に拡散している。血管人類を脅かす新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はSARS-CoV-2によるウイルス感染症だが、体内に常在する病原性細菌群との混合感染による重症化が問題になっている1-3)。これまで歯科疾患の予防や誤嚥性肺炎の防止策として推進してきた口腔ケアが、COVID-19の重症化予防としての意味を持つようになってきた。また、このウイルスは唾液を介して周囲の人に拡散するので無症状の感染者(不顕性感染者)の唾液中のウイルス量をが具体的に報告されている4-6)。北半球での冬の到来により季節性インフルエンザとCOVID-19の同時流行が懸念されているので、歯科保健医療関係者は拡大する口腔ケアのニーズに適確に対応する必要がある。2.口腔ケアと生活習慣病口腔ケアの目的は歯の喪失の防止、口臭の防止とともに口腔の有害菌の体内への拡散防止である。口腔の細菌群は血系の拡散とは歯周組織や根尖病巣から毛細血管、静脈、心臓、肺を経て大動脈から全身の臓器に拡散する経路である。呼吸器系は口腔から咽頭、咽頭から下気道を経て誤嚥性肺炎を引き起こす経路である。消化器系は唾液を介してバイオフィルム細菌が胃を通過し腸管に侵入する経路である。これまで口腔細菌の全身の臓器への拡散を防止することはがんや糖尿病など生活習慣病を予防するために重要だと考えられてきた。持続的な慢性炎症が後天的な遺伝子変異(エピジェネティクス)をもたらすからである。遺伝子の配列が先天的であってもその発現は環境や生活習慣によって変化する。「エピジェネティクス」として知られるその変化は、脳の視床下部の慢性炎症を通して糖尿病に、各臓器での慢性炎症を通して発がんに関与する。3.口腔ケアによる認知症対策血管系に侵入した口腔細菌は動脈硬化を含めすべての臓器に悪影響を与えるが、臓図1ヒト脳の海馬において歯周病菌のタンパク質分解酵素(ジンジパイン;RgpB)がTauタンパクとβ-Amyloidに結合していた。RgpB特異的モノクローナル抗体を使用した免疫組織化学染色(63歳のAD患者の代表的な画像)。文献9より引用。器別に見ると脳への悪影響は最も深刻である。近年、Porphyromonas gingivalis2Dental Products News 239