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概要

Dental Products News239

近年ではデメリットの部分にも変化が生じてきていることから、これらのデメリットの各項目について考えてみる。?今回臨床で使用したデントクラフトREファイル(図2)はNi-Ti合金を熱処理することで、形状記憶効果を付与している。そのため、高圧蒸気滅菌時に高温となることで形成時に生じたファイルの歪みや伸びが回復する(図3)。超弾性効果に特化した昔のK3などのNi-Tiロータリーファイルでは繰り返し使用する過程で突然ファイル破折を起こす怖さがあった(図4)。REファイルの場合は高圧蒸気滅菌後にファイル変形回復が不十分な場合、ファイルを破棄することでファイル破折をある程度予防することができる。しかしながら熱処理されることで形状記憶効果に特化したファイルはねじれ疲労破折(図4)に弱いとも考えられているため(Zupancら,IEJ2018)、使用時のトルクや動かし方には十分注意が必要である。ⅱREファイルは臨床使用時の体温下では柔軟性がとても高いため、彎曲が強い根管にも高い追従能力がある(図5)。筆者は、デンタルはビスタスキャン、X線照射器はビスタイントラを使用している(図6)。REファイルはプレカーブを付与できるので、レッジの回避やアクセスが難しい部分の根管形成なども行いやすい(図7)。ⅲ形状記憶効果があり、ファイル劣化状況を多少は予測できるが、REファイルは1本単価が非常に安価なため、筆者はできれば単回使用が望ましいと考えている。これらのようにNi-Tiロータリーファイルを用いる上で、デメリットとされていた要素が現在では少なくなってきていると感じている。しかしながら柔軟性が高まっている反面、切削効率が悪く感じることもある。「初めての根管治療なのか?再根管治療なのか?」「根管の彎曲度はきついのか?緩やかなのか?」「彎曲半径は大きいのか?小さいのか?」など、症例に応じてどのような特性を持ったNi-Tiロータリーファイルを使用するか検討し、使い分けることも今後重要と考えている。図7レッジの回避レッジができてしまった場合もファイルにプレカーブを付与することで本来の根管を形成することが可能である。図8根管充填直後のレントゲン(REファイルCT使用のポイント)開口量が少なく、7近心根が見7近心頬側根が分岐しており、抜髄など初回の根管治療に特に逃されていた。プレカーブをつけることで、治療を行うことができた。ファイルにプレカーブを付与して形成することができた。有効と考えている。6近心根がレッジになっていたが、回避して形成を行った。根尖分岐方向もプレカーブを付与することで追従可能に。Dental Products News 239 19