ブックタイトルDental Products News239
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Dental Products News239
クルクミンのPg菌タンパク質分解酵素阻害効果タンパク質分解酵素であるジンジパインはPg菌のもつ強力な毒性因子である。ジンジパインは歯周組織の破壊や、免疫タンパク質の分解など歯周病の発症・進行において様々な役割を果たす3)。近年、ジンジパインが認知症の発症に関与しているとして、米国Cortexyme社は認知症予防のためにジンジパイン阻害薬を開発している。この薬は臨床試験では圧倒的効果が認められ、来年には「驚きの結果」が明らかになる模様(愛媛・西田亙先生情報)。ジンジパインにはジンジパインRとジンジパインKの2種類がある。クルクミンはどちらのジンジパインのタンパク質分解活性を明らかに阻害した(認知症予防にも使えるかも?)。クルクミンのPg菌の細胞内侵入阻害効果参考文献2より引用阻害率(%)1009080706050403020100ジンジパインRP<0.01ジンジパインK0 5 10 15 20クルクミン濃度(μg/ml)緑色:Ca9-22上皮細胞赤色:ビーズPg菌Pg菌は歯周組織の細胞内に侵入し、細胞機能を障害するとともに、細胞内に潜み免疫や抗阻害率(%)P<0.01生物質の攻撃から逃れている。Pg菌の細胞内侵入を阻止できれば、歯周病の発症や重症化予防に大いCa9-22細胞に役立つ。そこで、クルクミンの細クルクミン(μg/ml)胞内侵入阻害効果を調べた。Pg菌の菌体表層成分を蛍光ビーズにコーティングし、蛍光ビーズをPg菌に見立てた(ビーズPg菌)。ビーズPg菌を培養上皮細胞に加えたところ、ビーズPg菌は歯肉上皮細胞に素早く対照(ビーズPg菌添加)クルクミンなし1μg/ml 5μg/ml 10μg/mlクルクミン濃度付着し細胞内に侵入した。一方、クルクミンはビーズPg菌の細胞への付着・侵入を効果的に阻害した。Izui et al.未発表データクルクミンは有力な歯周病予防素材これまで知られている多彩な生理活性に加えて、可溶化したクルクミンはPg菌に対して抗菌、バイオフィルム形成阻害、ジ抗菌抗バイオフィルムンジパイン阻害、細胞内侵入阻害と多彩な作用を発揮することが明らかになった。クルクミンの抗炎症作用も判っており(次号にて紹介)、クルクミンの歯周病予防素材への応用が大いに期待される。ジンジパイン阻害新規の歯周病予防素材抗炎症参考文献1)天野敦雄.特別企画「歯周病菌インタビュー」.nico157:37-44,2020.2)Izui S, Sekine S, Maeda K, Kuboniwa M, Takada A, Amano A, Nagata H.Antibacterial activity of curcumin againstperiodontopathic bacteria. J Periodontol, 87(1):83-90, 2016.3)天野敦雄.P. gingivalisの強さを握るジンジパイン.歯科衛生士43(8):68-75, 2019.最恐のPg菌の天敵であるクルクミンの効果がお判り頂けたであろうか。しかし、まだまだクルクミンについて語らねばならないことは残っている。その紹介は来年2月号に委ねる。乞ご期待。To be continued【著書】天野敦雄:歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト【増補改訂版】.クインテッセンス出版,2020.天野敦雄:天野ドクターの歯周病絵本バイオフィルム公国物語.クインテッセンス出版,2019.Dental Products News 239 17