ブックタイトルDental Products News238

概要

Dental Products News238

最強の歯周病菌、Pg菌g菌はKeystone pathogen（訳：要となる病原菌）と呼ばれている。この菌は、レッドコンプレックスの中でも最強の歯周病菌であり、名実ともにバイオフィルム社会の君主である。この菌がバイオフィルムの病原性の変化を支配している。だから、Keystone pathogenなのである。Pバイオフィルムの成り立ち　解説液中のタンパク質は歯の表面に吸着し、ペリクルと呼ばれる膜を形成する。ペリクルは唾液中の善玉球菌と結合するので、ペリクルの上に善玉菌が集まり始める。その善玉菌の上にまた別の善玉菌、あるいは日和見菌が付着する。唾液は菌の食料にもなり、細菌の増殖を助け、バイオフィルムは成長していく。　やがて、長くて大きなFn菌がバイオフィルムに定着する。細菌種の仲を取りもつ「仲介役」と呼ばれるこの菌は、たくさんの種類の菌と結合できる。善玉菌だけでは無く、悪玉菌とも強く結合しバイオフィルムにレッドコンプレックスを定着させる。Pg菌の定着が最も遅く、18歳以降と言われている。Fn菌は他の菌の栄養素となる物質を分泌することができるため、Fn菌によってバイオフィルムの病原性は高められ、歯周病を起こすようになっていく。唾バイオフィルムの成り立ちⅢ　ちょい悪菌の策謀がて平穏な村に驚くべき訪問者が現れた（小学生の間に）。大蛇の化け物・ちょい悪菌である（オレンジコンプレックスのFusobacteriumnucleatum 、通称Fn菌）。この化け物、体はでかいが、愛想がよく物腰が穏やかなため、恐る恐る遠目に眺めていた住民たちも、次第に気を許し村に迎え入れてしまった。　この訪問者を住民にしたばかりに、村は大きく変わることになった。Fn菌は善良とは程遠く、狡猾な裏の顔をもっていた。住民を油断させ、まんまと招かれざる客、悪玉菌を手引きしたのである。もう取り返しはつかない。悪玉菌・レッドコンプレックスが村に入り込んでしまったのである。やペリクル天野敦雄：天野ドクターの歯周病絵本 バイオフィルム公国物語. クインテッセンス出版, 2019より転載バイオフィルムの支配階級、レッドコンプレックスッドコンプレックスは強力な病原性をもつとともに、村人に様々な食料を与える能力をもつため、村人は彼らのカリスマ性に心酔し、心を鷲掴みにされひれ伏す。レTf菌Td菌Pg菌Keystone pathogenバイオフィルムの成り立ちⅣ　村が支配されたに侵入したレッドコンプレックスは、圧倒的な武力の差（病原性の差）によって村人を蹴散らし、村の侵略に成功した。こうして、村の住民は不平等な身分制社会で暮らすことになったのである。村天野敦雄：天野ドクターの歯周病絵本 バイオフィルム公国物語. クインテッセンス出版, 2019より転載天野敦雄：天野ドクターの歯周病絵本 バイオフィルム公国物語. クインテッセンス出版, 2019より転載天野敦雄：天野ドクターの歯周病絵本 バイオフィルム公国物語. クインテッセンス出版, 2019より転載14 D e n t a l P r o d u c t s N e w s 2 3 8