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概要

Dental Products News236

MTAセメントMTAアンジェラスHPMTAアンジェラスHPの生活歯髄療法への応用李光純LEE'S DENTAL CLINIC/東京都中央区開業部分的な炎症を伴う永久歯髄において抜髄治療以外の治療の選択肢としてMTAを使用した歯冠部歯髄切断がその高い成功率から注目を集めている。MTAセメントは生体親和性、親水性、高い封鎖性、抗菌性から歯内療法領域での様々な治療法に応用を広げている。本稿ではMTAアンジェラスHPを使用した歯冠部歯髄切断の術式と臨床でのポイントを簡潔に解説していく。MTAを使用した歯冠部歯髄切断(Full pulpotomy)成功のキーポイント1歯髄の診断2無菌的環境での治療3歯髄の止血状態の観察4歯冠側の緊密な封鎖図1当院で使用している歯冠部歯髄切断を行う際の器具図2MTAアンジェラスHP滅菌された器具を使用することはラバーダム装着と同様、治療成功のために不可欠である。治療中に医原性に歯髄や根管内を感染させないこと、これは根管治療でも同様のコンセプトである。MTAアンジェラスHPは、1回きりの使い捨てで衛生的である。図3初診時所見図4隔壁(必要に応じて)32歳女性、6ヶ月前に他医院でセラミックインレー治療を受け、セット後からしみる症状が続き抜髄を勧められていた。初診時の歯髄と根尖周囲組織の診査:Cold test(+++)Hot test(++)打診(+)触診(?)X線検査では近心根に歯根膜の拡大が認められる。また歯髄の髄角が張り出しており、修復物と近接している。これまでは抜髄治療以外の選択肢はないであろうと思われる典型的な症例である。初診時のX線写真セラミックインレーを一部除去し、隔壁を行う。遠心壁がないままではラバーダム防湿を行なっても唾液、歯肉溝浸出液が防げない。図5ラバーダム防湿筆者はラバーダム装着後に、裏層材、う蝕を除去する。裏層材を除去すると点状露髄が見られた。本ケースではう蝕は見られなかった。16Dental Products News 236