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概要

Dental Products News233

自費補綴はフルデジタルデンティストリーに移行している(図3)。実際に感じた点について述べたいと思う。従来の印象採得の問題が解決口腔内スキャナー導入時点では時間がかかり億劫になりがちであったが、各種文献の患者アンケートからまとめると、口腔内スキャンにかかる時間を10分以内にしないと、そのメリットを感じないとする患者が多いようである。そのためスタッフ全員で口腔内スキャンの練習をすることをお勧めする(図4)。スキャンの特性を理解し慣れていくと、どんなケースであっても10分以内のチェアタイムでスキャンが完了できるようになる。実際にスキャンを行うと、従来困難であった動揺歯を含んだ印象や矯正中患者の印象が容易にできる恩恵を高く感じる(図5)。また当然であるがマージン部の気泡や印象材の引きちぎれといったトラブルも皆無である。不鮮明な部分があれば容易に追加印象が可能であり、嘔吐反射の強い患者も快適に印象操作が進むため術者、患者共にストレスが少ない。模型や資料保管がPC1台になるまた筆者は咬合状態の記録について術前とプロビジョナルにおける咬合状態の評価のために画像をコピーして保存している(図6)。デジタルならではのメリットは大きいと感じる。同様に研究用模型の保存についてもデジタルの良さを実感している。模型の保管場所の問題で困っている医院は多いであろう。また実際に必要になった際に目的の模型を探し出すのに苦労されているのではないだろうか(図7)。外付けのHDD1つで十分に模型と咬合記録の保存と管理が可能であり、今後長年月の変化を調べる際に有効になるであろう。院内感染のリスクを軽減特に感染管理について当院では開院当初から意欲的に取り組んできたが、印象体の取り扱いには多少の疑問を感じていた。日本補綴歯科学会では印象における感染対策の指針を作成しており、それによると、採得後の印象体は体液で汚染されており、スタンダードプリコーションに該当する(図8)。汚染された印象から作製された石膏模型には汚染が転写され内部にも混入する。模型調整の際には新たな石膏面が露出するため石膏模型に対する消毒は内部にまで到達する方法を選択する必要があるとしている。しかし実際にこのレベルで消毒操作を完全に遂行している技工所は少ないと思われる。また印象体は消毒する前に水洗が必要で、その水洗はアルジネート印象材で120秒、シリコーン印象材で30秒間水洗することが必要とされ図5動揺歯の印象もリスクが少ない図6咬合状態をデータ保管する図7模型保管スペース不要アルジネート印象でも困難であった動揺歯を含んだ印象や矯正中の患者の印象が容易にできる。咬合採得と同時に咬合状態の記録をすることが可能。全顎的補綴や矯正治療に際して非常に有用である。デジタルであれば即座に検索が可能でかつ場所を取らない。図8感染予防対策図9感染予防対策には120秒以上の水洗が必要すべての印象体は体液、病原体に汚染された感染性物質として取り扱われる必要がある。60秒程度の水洗では、かえって汚染の分布範囲を広げてしまうため120秒以上の水洗が必要である。Dental Products News 233 7