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概要

Dental Products News233

ものとして一時期ガリウムアロイが使われたが、これも製造中止となった。その後コンポジットレジンやレジン系接着材などを応用してきたが、接着性が向上したとはいえ、その吸湿性からも根尖封鎖性に問題は残ったままだった。それがMTAの登場により、これらの問題が解決するに至った。MTAは、水の存在下でも硬化するという性質と漏洩性に優れ、硬組織形成の促進まで期待できるとされ、高い成功率であったと報告されている。しかし「M T Aアンジェラスホワイト」「MTAアンジェラスHP」の国内での薬事承認は覆髄材としての応用である。従って、このような臨床応用に関しては予め患者さんに説明し、その同意を得ておく必要がある。ここで、外科的治療においては、出血を避けることができないため、これをいかにコントロールして、MTAを填塞するかが問題となる。血液はMTAの硬化を阻害し、MTAの中に混入すると物性を低下させる。従って、患歯周囲組織の圧迫止血の他に、レーザーを併用するなど、確実に止血を図っていくと共に、MTAを適確に短時間で填塞することが求められる。このためMTAの操作性は、術式を成功させる条件になると思われる。症例1(図5)と症例2(図6)に示したのは、歯根?胞摘出後、歯根端切除、逆根管充填剤として応用した例である。症例1はメタルボンド装着歯、症例2はメタルコアが太く除去不可能だった例である。症例3(図7)はメタルコアが根管壁穿孔していた例である。感染根管治療と共に、穿孔部を「MTAアンジェラスHP」で?塞した。いずれの例も経過観察X線写真で、透過像が減少し、良好に経過している。MTAは、歯内療法領域における画期的な、しかもオールマイティとも言える材料である。ただ、高価なことと操作性の悪さが欠点だったが、この操作性を改善したのが「MTAアンジェラスHP」で、我々の臨床の幅を広げてくれる材料である。●参考文献1)Torabinejad M, Watson T F, Pitt Ford T R ,Sealing ability of a mineral trioxideAggregate when used as a root end fillingmaterial .J Endod 1993 ,19;591-5952)小林千尋.MTAの臨床-よりよいエンドの治癒を目指して,医歯薬出版,2013,第1版3)Mahmoud Torabinejad寺内吉継訳.MTA全書その特性から臨床テクニックまでクインテッセンス出版,20174)森川公博.待望のMTA根管充填用シーラー「MTAフィラペックス(MTA FillaprxR)」,DPN,211,2015,4~5.5)6)森川公博.MTA製材の特性-MTAを知って使おうーその1:MTAアンジェラスを硬化させる,DPN,215,2015,12~14.森川公博.MTA製材の特性-MTAを知って使おうーその2:MTAフィラペックスを硬化させる,DPN,220, 2016,14~16.7)森川公博.MTA製材の特性-MTAを知って使おうーその3:MTAフィラペックスを臨床で硬化させる,DPN,228, 2018,12~14.図18)アンジェラス社提供資料図6症例2:2 70歳女性図1初診時術後経過観察3ヶ月術後経過観察10ヶ月図7症例3:6 52歳男性初診時術直後術後経過観察6ヶ月Dental Products News 233 25