ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

Dental Products News233

ている。アルジネート印象体の場合、血液が付着したならば30~60秒程度の水洗ではかえって血液の分布範囲を広げてしまうため120秒以上の水洗をすることが推奨されている(図9)。しかし臨床現場で実際に2分間の水洗を行っている医院はどれほどあるだろうか。そもそもその様な危険性の無い印象をすべきであり、すなわち非接触で印象採得が出来る口腔内スキャナーによる印象(図10)は、感染管理が重要視されている現在、必須の機材となると筆者は予測している。スキャナーの近未来とその導入価値口腔内スキャナーの使用に慣れてくると、スキャン中に目線を口腔内とパソコンモニタで往復するとスキャンに時間がかかることに気がつく。患者の口腔内を見たままの視線で、そのままパソコンモニタを確認するために、筆者は眼鏡に接続するタイプのウェラブルディスプレイを使用している。他に眼鏡タイプのものも市販されている。スキャン操作をしながら目線を変えずに撮影している映像をリアルタイムに確認できるため慣れると非常に便利である(図11)。現在のインプラントシミュレーションソフトはCTのDICOMデータと口腔内印象のSTLデータの重ね合わせが容易に可能となったため、以前の様な複雑なステップがなく短時間でシミュレーションができるようになった。特に口腔内スキャナーでS T Lデータを採得し即座にコンピュータに転送すれば、すぐにでもシミュレーションが可能であり、印象体に石膏を注ぎ模型が硬化する時間の内にシミュレーションが完了してしまう。そのため当院ではほとんど全てのケースでガイデットサージェリーを行うことができるようになった。3Dプリンタによるガイドは適合が良く、不安のないインプラント手術が短時間でできるようになった(図12)。フルデジタルデンティストリーを臨床に取り入れて最も実感したメリットは、当初は精度の良さや製作ステップの削減、患者の快適性といった点を想像していたが、それよりもそれらに伴う総合的な時間の短縮が大きいメリットと考えている。従来は印象の操作時間だけでなく、印象体の取り扱いや石膏の注入、取り出し、トリミング、咬合記録と模型管理、技工所との受け渡しなど、何かと手間と時間がかかっていた。口腔内スキャナーを使用する場合は、スキャンしたその場で即座にSTLデータを技工サイドに転送してしまえば医院サイドの仕事は終わっており、それにより生み出された時間の価値が高いと感じている。技工サイドからみても転送されて即座に画面上でCADによるデザインを開始できるためこちらも時間短縮になり(図13)、双方に時間を生み出すという価値があると考えている。図10非接触でスキャニングができる図11ウェラブルディスプレイの活用スキャナーの先端部分は滅菌可能で患者毎に交換してスキャンできる。PCの設置場所によらず、目線を変えずにモニタ画面を確認しながらスキャン操作ができる。図123Dプリンタによるサージカルガイド図13歯科技工士とのデジタルによる連携口腔内スキャナーにより即座にシミュレーションが可能。デジタルによるガイドは適合が良い。チェアサイドでデータ転送すれば即座に歯科技工士はデザインを開始できる。デジタルにより生み出される時間に大きい価値がある。8 Dental Products News 233