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概要

Dental Products News232

のリスクアセスメントですので、歯周疾患のリスクや診断法についての講義もありましたが、10回(120分/回)の講義のうち8回がカリエスリスクアセスメント(CAMBRA)関連に充てられており、内容の濃い講義でした(図7・8)。この様な講義時間配分になっている主な理由として、EBM(Evidence-Based Medicine)に基づいて理論と実践がクリアに行われているのがCAMBRAであることがあげられると思います。歯周病についてのリスクアセスメントは、現在構築中という位置づけのようです。その後、4年時の臨床実習でCRA(CariesRisk Assessment)テストによる評価と管理のトレーニングを受け、臨床実習の期間中に担当する全ての初診患者さんのCRAフォームによるカリエスリスクアセスメント評価、およびメインテナンスを行います。結果は電子カルテに組み込まれているソフトウェア上に記録保存されます。また、全ての臨床実習担当教員は、CAMBRAガイドラインに沿って、毎年、トレーニングとキャリブレーション研修を受講し、その管理下で初診患者さんに対するカリエスリスクアセスメント臨床実習が行われています。歯学部学生の臨床実習以外にも、医員や卒後研修医が担当初診患者さんに対するCRAフォームによるリスクアセスメントを行う場合がありますが、その数は少なく、臨床実習における患者さんの割合が多いです。CAMBRAガイドラインでは、HighリスクとExtremeリスクの患者さんに対して、抗菌性商品(クロルヘキシジン洗口剤、キシリトール製品)や、高濃度フッ化物配合歯磨剤の使用を強く推奨しています。通常、これらの薬剤をパッケージで使用するためには自己負担が必要になりますが、UCSFとカリフォルニア州の医療・歯科医療行政間の特別な連携により、必要と認められた患者さんは無料でこれらの薬剤を使用することができるようになっています。しかし、定期的なメインテナンスを含むCAMBRAの施術を積極的に受ける患者さんは多くありません。2007年からは、臨床実習にもCAMBRAが導入されていますが、18歳以上の初診患者さん(年間約3000人)のうち、無歯顎者等を除いてCRAフォームによるカリエスリスクアセスメントを受けた患者さんの数は、2010年以降80~90%と高くなってきています。2017年は歯学部卒後臨床研修医対象のCAMBRA講義プログラム10回(120分/回)も受講しました。様々な臨床分野から集まった研修医を対象に、歯学部2年時の講義の内容をより深めたものでした(図9~11)。このように、歯学部および病院をあげてCAMBRAシステムの教育を継続的に行っているということが、UCSFのCAMBRAのベースになっています。▲図9 臨床研修医対象のCAMBRA関連の講義シラバス(2017;Featherstone先生のご厚意による)▲図10 臨床研修医対象のCAMBRA関連の講義をする Peter Rechmann先生▲図11 2017年の臨床研修医のCAMBRAの講義を終了後、修了テストとレポートに合格し、Featherstone先生よりサティフィケートを頂きました。1)Chaffee BW, Featherstone JDB. Long-TermAdoption of Caries Management by RiskAssessment Among Dental Students in aUniversity Clinic. J Dent Educ, 2015; 79(5):539-5472)P. Rechmann, B.W. Chaffee, B.M.T. Rechmann,J.D.B. Featherstone. Changes in Caries Risk ina Practice-Based Randomized ControlledTrial. Adv Dent Res, 2018; 29(1): 15 -233)V.Kim Kutsch, Robert J. Bowers, 監訳:安井利一.BALANCE. クインテッセンス出版. 2016.参考文献D e n t a l P r o d u c t s N e w s 232 25