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概要

Dental Products News232

一見、さほど大きくは見えないカリエスの処置に入る。エナメル象牙境に沿って進行したカリエスにより、頬側歯質の保存は難しかった。アイオノジットベースライナーをより強固に接着させるために、象牙質に“ボンディング材”を塗布した。図15 図16 図17間接覆髄処置として、アイオノジットベースライナーを約1mmの厚さを確保し充填。エナメル質には選択的にエッチング処理を行う。コンポジットレジンにて修復し、経過観察の後、アンレー修復を行う。図18 図19 図20インレーの脱離やC2などで応急処置の必要な急患が来院した場合の対応として、アイオノジットは非常に便利である。時間をどれだけかけられるかという状況にもよるが、当日は簡単な患歯の検査の後、必要であれば浸潤麻酔下で軟化象牙質を除去し、アイオノジットにて修復処置を行う。2回目以降のアポイントで必要な検査を行い、口腔内環境を整え、主訴である患歯の最終的な修復について診断ができる。一般的なグラスアイオノマーと比べてアイオノジットの特徴である、強度が得られる点や、フローが良く緊密に充填でき、練和が必要なく操作性が良い点から、深い窩洞においての間接覆髄には大変有効であると考える。また、第2象牙質についても、水酸化カルシウムやMTAセメントと大差なく形成されることも示されている1 )。乳歯の修復においては、非協力的な小児の場合ラバーダム下での修復が困難なことや、防湿しながら短時間での修復が必要である。そのため、前処理が不要なアイオノジットでの時間短縮は有効である。クラウンを除去した際などに発見することがあるコンタクトカリエスに対して、コンタクトが解放された状態で、最小限のカリエス除去を行い、アイオノジットの充填を行うことは、カリエスになりやすい歯間部への長期的なフッ素徐放性と、硬化後の膨張によりマイクロギャップを補填できるという点でメリットがあるのではないだろうか。また、レジンとのハイブリッドであることから、単独でも強度、表面の滑沢さを得ることができる。根管治療中の緊密な辺縁封鎖や、根充後のマイクロリーケージからの再感染を防ぐ目的で簡易に使用できる。以上、たくさんのメリットと操作性の良さから、アイオノジット ベースライナーはグラスアイオノマーを見直すきっかけになり、活用の場が広がったとも言える。応急処置の対応として小児の修復材料として根管治療時の仮封材として間接覆髄 コンタクトカリエスの充填症例2:小児の修復材料として(担当:懸樋 朝子先生)図11右下のDE間にカリエスを認める。図12術前。乳歯のカリエスは視診では判断がつきにくい場合もある。ロールワッテを使用した簡易防湿下でアイオノジットにて充填処置を行った。小児からフロスを習慣づけるためにも歯間部の充填は精密に行いたい。図13 図14症例3:間接覆髄処置無麻酔下で歯間部カリエスをう蝕検知液で染め出し、除去した。D e n t a l P r o d u c t s N e w s 232 9