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概要

Dental Products News230

<はじめに>歯内治療は根管に起因する痛みを除去することを第一の目的としている。そのためには、冠部歯髄腔から根尖狭窄部までの根管内にあるすべての為害物質を除去する必要がある。歯内治療は不採算治療と言われ続けてきている。たしかに、指先の疲労、加えて時には症状の改善が見られない患者との出会いがあり、好まれる治療ではない。しかし、根管内に炎症歯髄や罹患象牙質などの為害物質を残したままだと、患者は違和感や痛みを訴え続ける。歯内治療には、測定精度が高く使いやすい電気的根管長測定器は不可欠である。先に述べたように、抜髄根管では、細菌増殖の温床にならないように、象牙前質を除去することが大切である。そのための法則があり、根管長を決定した最初のリーマーやファイル(イニシャルサイズ)の号数から、2~3段階上まで拡大すれば、象牙前質を除去できる。図は、イニシャルサイズが#30の場合で、最終拡大号数は#45である。感染根管内には、食物残渣や罹患象牙質が多く存在し、これらは細菌の温床になっている。根管内細菌からの刺激毒素に対して、根尖部歯周組織では好中球やマクロファージを中心とした防御反応が生じ、歯槽骨の吸収といったX線写真で明確に解る反応が起きている。感染根管で注意すべき罹患象牙質の広がり図4 抜髄での根管拡大終了基準ジャスティ3.5図5 根尖部歯周組織での炎症動態(根尖性歯周炎)図6感染根管歯槽骨食物残渣羅患象牙質■■象牙前質●根管内での横の広がり●根尖狭窄部付近での縦への広がり#45#40#35#30●#45根管拡大・形成終了後( アピカルシート)※#30がイニシャルサイズの場合細菌好中球による膿瘍形成神経圧迫・刺激活性酸素,NO(神経破壊・吸収)炎症性メディエーターIL-1MφTNF-α(破骨細胞による骨吸収)▲▲※根尖孔外のバイオフィルムに注意!感染根管治療で症状の改善が思わしくない時には、罹患象牙質の残存とその広がりを考えるべきである。感染根管での罹患象牙質の広がりというと、すぐ横への広がりを考えてしまう。ただ、横への広がりに対して円周ファイリングで対処しても、症状が改善しない場合は、罹患象牙質が根尖最狭窄部を超えて根尖孔外への縦の広がりを考えるべきである。症例によっては、根尖孔外に細菌の塊であるバイオフィルムが形成される場合がある。ただ、根尖最狭窄部から少し根尖部歯周組織に出た辺りでは、根尖孔外の免疫防御反応が期待できる。そこで我々は、感染根管で症状が長引いた場合、この少し出た位置を、ジャスティ3.5で表示する赤いバー1本(0.15mm)を目安として治療している。▲▲D e n t a l P r o d u c t s N e w s 230 9