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概要

Dental Products News229

欧米ではすでに20年ほど前からCAD/CAMが運用され、その動向を見ていると、日本の歯科技工分野にも近い将来、デジタル化、CAD/CAMの波が来るであろうと思い、当歯科技工所でも約15年前に一早くミリングマシンを導入しました。日本でも年々CAD/CAMの需要は高まり、精度・ラインナップとも日々進化していることを実感します。当歯科技工所では、歯科医院または他の歯科技工所から、これまでと同様に模型が送付されてきます。その後、模型をスキャニングし、補綴物の設計を行い、削り出しを行います。最終的には、歯科技工士が模型上でのフィットを確認、調整を行い、患者さんや歯科医師のちょっとしたニュアンスが表現できるように仕上げていきます。これまでの技工操作と大きく異なることは、「ワックスアップ→埋没→鋳造→研磨」が、デジタル化によりCADソフトによる補綴物デザインとなり、ミリングマシンでの削り出しに変わります。また、従来の技工操作では使えなかったジルコニアなどの材料を用いることができるようになりました。さらにこれら作業にかかる時間はおおよそ1/2となりました。言い換えれば、同じ時間で倍の補綴物作製が可能となるのです。歯科技工士不足や働き方改革が問われる現在、歯科技工所におけるC A D / C A Mは大きな改革となっていくことでしょう。咬合力などの問題もあるため、全てがメタルフリーになる訳ではありませんが、患者さん・歯科医院からの「白い歯」「割れない」「安価」な補綴物のニーズは高まっていることを実感します。これは近年CAD/CAMの精度が向上し、フィット・審美性・予知性ともに「信頼できる補綴物」になった結果と考えています。『コエックス150』は、ワックス・レジン・ガラスセラミック・ジルコニア等のブロック・ディスク状の材料を湿式または乾式で切削するミリングマシンです。今回、当歯科技工所にハイブリッドレジン用のミリングマシンとして『コエックス150』を導入しました。『コエックス1 5 0 』を「湿式」で注水しながらでの切削は、「熱を持ちにくい」「摩擦が少ない」「擦れた感じがしない」という安心感があります。また同時5軸加工±5μm、先端径0.6~2.5mmのバーによる高精度の切削を行うため、セメントスペースやマージンのフィット等、精度の高い加工が可能だと実感しています。今後は、光学印象からの加工や3Dプリンターの活用など、益々可能性が広がっていくと考えます。しかし、重要なことは歯科技工士が「大事な箇所を抑える」ことです。デジタル時代だからこそ歯科技工の技術・経験・診る目は益々求められていくと考えています。CAD/CAMミリングマシンの導入で作業時間は1/2になる鳥岡あゆみ 小山紗季 歯科技工士/株式会社カロス(歯科技工所)/兵庫県姫路市CAD/CAM ミリングマシン『コエックス150』の活用図1高い適合性でブロックやディスクなどさまざまな材料に対応できる『コエックス150』。コエックス150 図2コエックス150は、ブロックだけでなくディスクにも対応できる。形成終了時図3形成終了時の口腔内写真。ミリングした直後のブロック。ミリング後の状態図4ミリング直後の状態で模型にセットし、フィットをチェック。精度が高い補綴物が作製できる。模型セット図5 研磨後図6 口腔内セット時図7 ディスクにも対応CAD/CAM冠を口腔内にセット。 咬合面から見た状態。頬側から見た状態。研磨後、最終フィットのチェックを行う。欧米ではすでに確立されていたシステム信頼性・患者ニーズも高まっている益々広がるCAD/CAMシステムミリングマシン『コエックス150』を導入※口腔内写真は筒井祐介先生より撮影・提供24 D e n t a l P r o d u c t s N e w s 229