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概要

Dental Products News229

予知性の高い歯内療法を行うにあたり、電気的根管長測定器の使用は必須である。一般的な装置は解剖学的根尖を検出するために2つの異なる周波数を用い、両者のインピーダンスを測定し、その差や比率(商)から根尖孔の位置を決定する「相対値法」を用いている。一方2006年に発売されたジャスティⅢには、根管口から解剖学的根尖に至る電流値の変動に注目した「統合補正測定システム」が搭載されている。こちらも2種類の周波数を用いるが、得られた測定電流値と装置に記憶されたファイル先端位置に関するデータを絶えず照らし合わせ、一致したものを結果として表示する。これにより、解剖学的根尖の位置のみならずファイル先端から解剖学的根尖までの距離も正確に計測(解剖学的根尖から3mm以内であれば0.2mm単位で測定が可能)できるようになった。なお、詳細については参考文献をご覧いただきたい。2017年6月に後継機種として発売されたジャスティ3.5は、この統合補正測定システムを継承しつつ、本体の小型軽量化に成功している。その性能は折り紙つきであり、筆者の日常臨床に欠かせない機器となっている。本稿ではジャスティ3.5を用いた症例について供覧させていただく。参考文献:庄司茂.新たに開発した第3世代の根管長測定器ジャスティーⅢの開発理念とその精度.Dental Products News. 160:2-5,2006.     渥美克幸.私がジャスティⅢを選んだ理由.Dental Products News. 218:18-20,2016.図19 処置前のCBCT画像図17 初診時症例3: 35歳男性/抜髄図20 根管充填・支台築造の終了図18 作業長を測定初診時35歳男性。右下6番の疼痛を主訴に来院された。歯髄壊死に近い状態だった。MTAを用いて根管充填、ならびにファイバー併用レジン支台築造まで終了した状態。特に問題は認められない。処置前に撮影した当該歯のCBCT像。遠心根根尖部は外部吸収が疑われ、根尖孔も歯冠側寄りに存在していた。そのためジャスティ3.5の計測結果は正しいと判断した。図12 初診時初診時21歳女性。左上1番の疼痛を主訴に来院された。根尖相当部に大きな透過像が認められる。図13 処置前のCBCT画像処置前に撮影した当該歯のCBCT像。すでに根尖孔は大きく破壊されている。症例2: 21歳女性/感染根管処置ジャスティ3.5を用いて作業長を測定している状態。根尖は#120まで拡大されているが、正確に測定できていると考えられる。MTAを用いて根管充填、ならびにファイバー併用レジン支台築造まで終了した状態。根尖透過像の縮小傾向が認められる。ジャスティ3.5を用いて作業長を測定している状態。遠心根は近心根と比べ作業長がかなり短く、デンタルX 線写真からもアンダーを疑った。図14 ガッタパーチャ除去 図15 作業長を測定 図16 根管充填・支台築造の終了慎重にガッタパーチャを引き抜いた。