ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

Dental Products News228

ガッタパーチャの軟化不足が生じ、十分なダウンパッキングができない問題が指摘されている。エレメンツフリーのダウンパック用ヒートプラガーのうち、最も細いエクストラファインXFはテーパー0.04、先端外形0.33mm(図5・表1)。このためほとんどの根管において、目的の深さまで確実に到達することができる。さらに過剰な加熱を防ぐために4秒加熱すると自動的にスイッチが停止する(図6)。アピカルプラグをブキャナンプラガーでの加圧時に手指に伝わる軟化度合いとしてはこの4秒が最適な加熱時間と感じられる。2バックフィルの安全性1)ガッタパーチャカートリッジがSingle useである。ガッタパーチャ表面にはバイオフィルムが形成されることが指摘されており、充填前には次亜塩素酸ナトリウムや消毒用エタノールなどによる滅菌処置が要求される。本機のニードルにはあらかじめ流動性の高い専用のガッタパーチャが抗菌性のある銀製のカートリッジに挿入されており、後部もラバーのボールでパッキングされているため非常に衛生的である。また一般的なニードルは高価(5,000円前後)であることから破断などが生じなければ基本的には使い回しされているが、本機のニードルはガッタパーチャの再装填はできないため使い捨てとなる。カートリッジの標準価格は10個入りで6,400円だが、安全で予後の良い根管充填を目指すのであれば、この価格は十分なコストパフォーマンスがあると言える。2)充填が容易なプッシュ式ボタンである従来のトリガー式のものと比べるとワンプッシュで充填ができるので、ニードルが届きにくい根管でも充填操作が容易になり、気泡(死腔)が入りにくくなった。何よりもこのハンドリングの良さは使ってみるとまず初めに実感する。また口唇の火傷を防止するため矢印部分(図8)には断熱材(シリカエアロゲル)が入っており温度上昇が少ない構造になっている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・過去20年、根管治療に関するさまざまな器材・薬剤が開発され、従来なら抜歯となった多くの歯の保存治療が可能になった。これまでDPNに寄稿したシステムBやLAアクセスキット、ジャスティ3.5、TFアダプティブファイルなどはその一端を担う器材であり、いずれも時代を追ってさまざまな変革を遂げながら現在の形に至っている。その中でエレメンツフリーは“より安全かつそして確実な根管充填”をコンセプトとしており、円熟した根管充填システムと言えるだろう。図9エレメンツフリーを使用したCWCT術式/シングルポイント法(注:ここでは便宜的にシーラーは使わずに解説する)1TFアダプティブファイルSM3で最終拡大を行い専用のガッタパーチャポイントを試適する。根管にスペースが残っている場合はアクセサリーポイントを使用して気泡が入るのを防ぐ。2エレメンツフリーヒートプラガー(写真はXF)が根尖より約5ミリ手前まで到達することを確認する。3エレメンツフリーのリングスイッチはどこを押しても瞬時に目的の温度に加熱する。加熱中はブルーのライトが点灯し4秒経過すると自動停止する。ここでは200度に設定。4ダウンパック。リングスイッチを押しながら目的の深さまでヒートプラガーを挿入し、ガッタパーチャポイントの切断と軟化を行う。図105ブキャナンプラガーでダウンパックする。エレメンツフリーを使用した臨床例6ダウンパック後のアピカルプラグ。7バックフィルカートリッジ(写真は25G)から加熱したガッタパーチャを根管上部に充填する。8根管径にあったブキャナンプラガーで垂直加圧する。エレメンツフリーの使用法を動画でCheck!図10-1:一見、良好な根管充填に見えるが近遠心根ともに根尖病巣が認められる。図10-2:再根管治療の後にエレメンツフリーを使用して根管充填。遠心根の病巣は側枝(矢印)の感染が原因であった可能性が推察される。右は遠心根の拡大。※動画を閲覧するためには、DNAヨシダ友の会登録が必要です。Dental Products News 228 21