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概要

Dental Products News228

走らせる(図10~12)。圧排しても歯肉をバーから遠ざけ難い時は、ルーティーが大いに活躍する(図13、14)。バーコントロールが難しい部位でもルーティー専用フィニッシングバーホルダーKなら、内縁上皮に火傷を作らず回転切削器具よりもはるかに優しく安全にマージン処理ができる。印象採得とセットのポイント圧排によるダメージを受けにくい歯周組織だと判断したので、一次、二次とも圧排糸を全周に挿入した(図15)。数分後、二次圧排糸だけを外しシリコンを流す。圧排は印象材の特性を最大限引き出すための操作でもある。ラインアングルの精度と連続性は及第点であってほしい(図16)。一次圧排糸の撤去直後の観察では、歯肉に対する負の影響もわずかであろう(図17)。作業模型の完成と、マージンの確認が待ち遠しい。シリカ系ガラスセラミックスの接着には通常レジンセメントを用いるが、商品の説明書通りに使用することが大前提である。最近のレジンセメントは、ボンディング剤に硬化促進剤が含まれるものが多い。違うメーカーの処理剤を組み合わせて使用すると、接着力は低下すると考えたほうが無難であろう。そして最後のハードルが余剰セメントの除去である。モノマーを軽く湿らせたコシのある細筆を用いると、細部のセメントも除去しやすい。タイミングを逃して完全除去が困難にならぬよう、緊張は最後まで続く。補綴物と咬合と軟組織に生じるその後の変化を追いかけなければならない。本当の評価はここから始まる。図13図14バーによる歯肉被害が大きくなりそうな場合は、エアスケーラーのルーティーが大いに役立つ。ルーティー専用フィニッシングバーホルダーKは切削効率ではなく、マージンのエッジの処理に威力を発揮する。しかも回転切削器よりもはるかに安全である。面取りにも都合がいい。図15-17印象図15:一次圧排には縫合用の3-0絹糸、二次圧排はヨシダのシュアーコードを使用。歯肉のバイオタイプを予想し、圧排糸の挿入方法も区分けする。図16:隣接切削面はダイやモンドバーを滑らした跡が描かれるが、カーバイトで処理した頬側ショルダーの印象面はより艶やかである。図17:印象直後、歯肉溝からの出血や顕著な発赤もなく、圧排による負の影響は最小限にとどめたであろうか?図18-20セット図18:明確なマージンが模型に再現されていれば、高い適合精度を期待できる。修復歯牙における疾病予防の第一歩であると考える。図19:セット後4日。辺縁歯肉は人工物を拒絶している様子もなく、目視では健全な状態といえるだろう。図20:エマージェンスプロファイルとコンタクトの位置によって乳頭の成長度合いが変わる。近心の立ち上がりはややタイト過ぎたか?Dental Products News 228 17