ブックタイトルDental Products News228

概要

Dental Products News228

MTAフィラペックスを、通法に従ってレンツロ等で根管に輸送する。その後、根管内を湿潤させ、マスターポイントを挿入、Ni-Tiスプレッダーにて側方圧をかけて、アクセサリーポイントのスペースを作っていく。根管充填に関しては、システム化したアクセサリーポイントを使用することでより緊密に充填できるが（図4・5、9～12）、MTAフィラペックスは、これまでの根管充填用シーラーのように硬化時間を待てば良いというものではない。水和反応を進める要素を加えていく必要があることを忘れてはならない。4．まとめMTAフィラペックスの硬化は、他の類似製品でみられる重合反応とは異なり、水分子を要する水和反応で硬化するということを、臨床での術式に加味しなければならない。ここで私の推奨する臨床術式を示す。?ベースとキャタリストペーストに、適量の精製水を加えて練和する?根管内は洗浄後、綿栓等で吸湿・乾燥後に、再度精製水で湿らせたペーパーポイント等で根管内を拭掃し、湿潤状態にする?通法による根管充填を行い、根管口に水を含ませた綿球を置き仮封する?処置当日のコア形成はしない根管充填の予後の判定は、長期間の追跡調査が必要であり、まだMTAフィラペックスの臨床成績を論ずるには時間が足りない。しかし、MTAに対しての評価は既存の材料に比べて極めて高いのは周知の事実である。MTAフィラペックスの特異な性質を理解して、適切な術式で臨むならば、その予後は良好な成績となるであろうことは十分期待できると思われる。最後に、MTAフィラペックスは、その使い勝手、操作性は非常に良好で全く問題ないが、本元のMTAセメントであるMTAアンジェラスは取り扱いに苦心されている方が多いように思う。今回追加発売されたMTAアンジェラスHPはこの点が改善されている。詳細については次回に情報提供していく予定である。●参考文献１）Torabinejad M, Watson T F, Pitt Ford T R , Sealing ability ofa mineral trioxide Aggregate when used as a root end fillingmaterial .J Endod 1993 ,19；591-595２）小林千尋．MTAの臨床－よりよいエンドの治癒を目指して，2 0 13，第1版３）森川公博．MTA製材の特性－MTAを知って使おうーその１：MTAアンジェラスを硬化させる，DPN215, 2015,12-144）森川公博．待望のMTA根管充填用シーラー「MTAフィラペックス（MTA FillapexR）DPN201,2015,4-5図9マスターポイントの挿入図10アクセサリーポイントの追加図11余剰ポイントの除去マスターポイントを作業長まで挿入したのち、Ni-Tiスプレッダーを挿入。アクセサリーポイントのスペースをつくる。スプレッダーによる側方加圧とアクセサリーポイントの追加。加熱したインスツルメントで、根管口部で余剰部分を除去する。図12水分の追加図13症例1：43歳男性術後図14症例2：38歳女性術後さらにMTAフィラペックスを硬化させるため、根管口部に水分を含ませた綿球を置いて仮封。6慢性化膿性根尖性歯周炎。4慢性化膿性根尖性歯周炎。14 Dental Products News 228