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概要

Dental Products News228

2水が不足すると十分な硬化が得られない。3硬化後、持続的なカルシウムイオンを放出、抗菌作用を示す。4MTAから析出した水酸化カルシウムはハイドロキシアパタイトを形成する。5MTAは硬化膨張する。従って、MTAフィラペックスには、根管充填用シーラーとして具備すべき条件に近い硬化特性を持っている材料であるといえる。しかし、MTAフィラペックスは、他の歯科材料とは全く異なった性質を持った根管充填用シーラーであることを理解してから、臨床応用して欲しいと思う。3.臨床応用に際して「MTAフィラペックス」はDPN220号で報告したように、条件が異なるだけでその後の硬化体は、全く別の材料と思えるほどの相違を生じた。すなわち、水をどのタイミングでどれだけ加えるかで、出来上がる硬化物は、別物になってしまうのである。M T Aフィラペックスはベースとキャタリストの製品構成で、水分の補給についての記載はされていないが、水分がなければ硬化しない(図1:MTAフィラペックス2種)※。前回の硬化実験の結果、MTAフィラペックスは、これまでのシーラーのように粉・液やペースト・ペーストで練和すれば硬化するわけではない。繰り返しとなるが、硬化したようにみえても実際は硬化していないのである。MTAフィラペックスの成分に、レジンが操作性と流動性のために添加されている製品であっても、MTA系であるが故に、水和反応のための水分が必要であって、その硬化のためには、練和時の水分添加だけでは不足であり、さらなる水分の補給と、加えて温度環境が必要であった。つまり、MTAフィラペックスの硬化因子は「水と温度」であったことを踏まえて、臨床の実際を示していく。まず、ベースとキャタリストの練和時にスパチュラの先に水滴となる程度の精製水を加え30秒間はしっかりと練和する。このとき水分が多すぎると、粘度が増し、十分な練和ができなくなる。その結果操作性が極端に落ち、根管にうまく輸送することができなくなる。(図2・3、6~8)図44歯髄壊死図5根管内の湿潤♯35まで根管拡大・形成し、根管洗浄して乾燥。滅菌精製水を含ませたペーパーポイントを根管内に挿入し、根管壁を湿潤させる。図6MTAフィラペックスと加える水分量図7MTAフィラペックスの練和図8根管シーラーとしての応用M T Aフィラペックス(ハンドミックスタイプ)のベースとキャタリストを等長紙練板に出し、スパチュラの先に乗る程度の滅菌水を加える。30秒間しっかり練和する。根管内へはレンツロで輸送し、適量をマスターポイントに塗布する。※メーカーでは『根管内象牙細管からの滲出液によって硬化される」としている。Dental Products News 228 13