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概要

Dental Products News228

MTAシーラー「MTAフィラペックス」を活用するMTA製材の特性?MTAを知って使おう?その3 : MTAフィラペックス(MTA Fillapex R)を臨床で硬化させる森川公博森川歯科クリニック/会津若松市開業1.はじめにMTAは、1998年に初めて臨床応用されてから20年近く経っているが、日本国内での普及はその評判のわりには遅れているといった状況であろう。しかし、最近は国内外のメーカーによる開発が進み、また輸入品が発売されるなど、国内市場でのMTA関連製品が数多く見受けられるようになってきている。これはMTAの持つ優れた性質が認知されてきた証しともいえるように思われる。さて、これまで筆者はMTAセメントの「MTAアンジェラス」とMTA系製材であるMTAシーラー「MTAフィラペックス」について、いかに「硬化させるか」について様々な条件下での実験を行い、これを臨床に生かすべく検討してきた。DPN220号ではMTA系根管充填用シーラー「MTAフィラペックス」の硬化には、水と温度が必要条件であることを実験の結果から明らかにした。M T Aフィラペックスは、ベースとキャタリストの練和だけでは硬化しないため、他のシーラーのような感覚で臨床応用すると、「こんなはずでは」といった事態に陥ってしまう危険性もある。MTAフィラペックスはMTAであるが故に、従来のシーラーとは異なった性質を有している。この「水和反応」というMTA特有な性質を知ったうえで、臨床に応用することで予後成績を良導させていくことができればと思う。この点を踏まえた個人的見解としての臨床術式を示してみたい。2.根管シーラーの所要性質とMTAの硬化特性MTAフィラペックスの根管充填用シーラーとしての適応性を再度考えてみる。旧来よりGrossmanが提唱した根管充填用シーラーに求められる性質は、1)根管内部へ容易に挿入できること2)側枝や副根管を含め、根管全体を封鎖すること3)挿入された後に収縮しないこと4)耐水性であること5)抗菌性であるか、少なくとも、細菌の成長に適さないこと6)X線不透過性であること7)歯の組織に着色を生じさせないこと8)滅菌されているか、滅菌が素早く容易に行えること9)根尖周囲組織を刺激しないこと10)必要に応じて、容易に除去できることである。ここで、MTAの硬化特性をもう一度述べてみると、1水の存在下でも硬化し、組織液や血液があっても固まる。図1MTAシリーズ図2練和の注意点1図3練和の注意点2MTAフィラペックスハンドミックスタイプMTAアンジェラスHPMTAフィラペックスオートミックスタイプ適度な流動性と操作性を兼ね備えたMTA成分配合の根管充填用シーラー「MTAフィラペックス」と、今回発売された覆罩材「MTAアンジェラスHP」。NGな練和。金属スパチュラを用いると練和物は黒変する。水分量が多いときには、練和困難。操作性が落ちシーラーとして用をなさない。12 Dental Products News 228