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概要

Dental Products News224

う方向に力をかけたりすると、いとも簡単に先端部が90°に曲がってしまう。下手をするとディスポーザブルどころか、1本の歯で何本もの新品ファイルをお釈迦にしてしまうこともあった。従って、穿通するためにある程度の力をファイルに加えたいにもかかわらず、ごく僅かにしか力を加えられないという、非常にもどかしい作業を強いられることになる。その悩みを解決してくれたのがMMC Kファイルである(図1)。MMC Kファイルを最初に使用した際に、その「コシの強さ」に感動した。#10以下のファイルサイズの小さいものでも、従来のステンレス・スチールファイルの#1 5のファイルと同じ感覚で使用できることは素晴らしい。従来のファイルでは根尖まで穿通できないとあきらめかていたような根管も、面白いほど穿通できる症例が増えた。逆にいえば、MMC Kファイルを用いても穿通できない時が「この根管はここまで」と筆者が区切りをつける時である。注意を要する点としては、その優れた“穿通性”がゆえ、根尖部で著しく彎曲しているようなケースでは、無理な力を加えると本来の根管を逸脱し、パーフォレーションを犯してしまう可能性がある。そのため、筆者はケースによってパイロットファイルを使い分けている。副根管の探索にも非常に有効MMC Kファイルは、前述した“強いコシ”を有しているため、MB2などの副根管の探索にも非常に有効である。副根管の根管口は狭窄していることも多く、#10以下のファイルであればスムーズに挿入できることを良く経験する。その際にも従来のファイルではすぐに曲がってしまうのに対し、MMC Kファイルは根管に食い込むように進んで行くため、非常に使い勝手が良い(図2~4)。開口量の小さい患者さんのMB2の探索には21mmのショートファイルを使用している。このファイルに出会って臨床が変わった!“穿通のために特化したファイル”という売り文句に飛びついた格好で使用し始めて5年経つが、現在では絶対に手放せないツールの1つとなっている。この優れた穿通性を利用して、再根管治療歯においては、ガッタパーチャポイントの除去にも使用している。そのような時は#2 0のファイルサイズのものが欲しいところであるが、残念ながら現在のところ#15までのラインアップとなっており、今後の展開に期待したい。しかしながら、このファイルに出会えてから、確実に自身の歯内療法の成績が向上し、臨床が大きく変わったことを実感している。歯内療法に一生懸命に取り組んでおられる先生に、是非お勧めしたい至極のツールである。図2初診時/80歳女性80歳女性。主訴は右下の自発痛と咬合痛で、4 3にまたがるエックス線透過像を認める。4は湾曲した歯根に沿って未拡大の根管が見えるため、副根管とパーフォレーションの存在の両方の可能性を疑った。図4初診より1年10カ月4の根尖病変は縮小傾向にあり、経過は良好である。5に関しては、メタルコア除去のリスクと年齢を考慮したうえ、根管治療を行わずに上部構造の再製のみを行った。参考文献:ゼロから見直す根尖病変基本手技・難症例へのアプローチ編/診断・治療コンセプト編医歯薬出版Dental Products News 224 13