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概要

Dental Products News223

ある。筆者は根管洗浄に主にジロソニックを用いている。ジロソニックは可聴域振動装置(サブソニック)であり根管洗浄や根管拡大に使用する(図6)。根管洗浄では次亜塩素酸ナトリウム溶液と併用することで象牙細管に至るまで切削片を除去することができる(図7・8)。スメア層を機械的に除去し、ファイルで拡大できない側枝や分岐などの複雑な根管形態に対してコンタクトシェービング法により洗浄効果が得ることができる。またジロソニックに装着するシェーパーソニックは先端1mmに歯がついておらずトランスポーテーションなどの偶発事故を回避できる。またマイクロカット加工により金属疲労による破折が起こりにくい。次に緊密に根管充填を行うために筆者はシステムB(図9)もしくはNTコンデンサー(図10)による垂直加圧充填を行う。根管内部は先にも述べたように非常に複雑な形態をしている。シングルポイントや側方加圧充填においてはシーラーの物性の向上により空隙や側枝の閉鎖を得やすくなってきているが、幅の広い管間側枝や根尖分岐など空隙が大きい場合は確実な封鎖を得ることが難しい。それに対し、垂直加圧充填は溶解したガッタパーチャの流動性により死腔のない緊密な根管充填を達成することができる。図11・12は前述の下顎前歯である。デンタルエックス線画像では根尖付近に管間側枝が見られ垂直加圧充填を行うことでその部分にもガッタパーチャによる緊密な封鎖が確認できる。図13は3のデンタルエックス線画像であり、根尖部に透過像が認められる。CT画像により根尖部での分岐が確認でき、舌側に分岐している根尖周囲に透過像が認められる。主根管と、ファイルにプレカーブをつけ舌側に分岐した根管の拡大・形成を行った。水酸化カルシウム療法を行い、根尖病変が消失したことを確認し、垂直加圧による根管充填を行った。このような根管においては垂直加圧充填でなければ、ガッタパーチャによる緊密な封鎖を得ることは難しい。シーラーは根管充填剤の潤滑剤としての機能もあり死腔閉鎖の補助となる。MTAフィラペックス(図14)は根管充填後の硬化時間が長く、その間カルシウムイオンの放出とpHの上昇により治癒促進と殺菌作用の持続性があり今後の経過に期待が持てる。様々な材料や機器を駆使し、治療を行う根管の形態に即した根管拡大・形成、洗浄、充填を行うことが大切である。図9図10システムBコードレスフィルNTコンデンサーオブチュレーションガッターNT充電器システムBコードレスパックホットスポット根管に挿入したガッタパーチャを加熱軟化し、根管充?を行う電熱式根管プラガ「システムBコードレスパック」と、根管充?材を加熱流動化して注入する「システムBコードレスフィル」。ホットスポットでオブチュレーションガッターNTを軟化する。等速ハンドピースに装着したNTコンデンサーにオブチュレーションガッターNTをコーティングさせる。図11図12筆者は低位分岐根管において垂直加圧充填を行う際は、一方の根管に太めのペーパポイントを挿入し、他方の根管へのガッタパーチャの流入を防ぐようにしている。図13(a)(b)(c)(d)管間側枝にもガッタパーチャでの封鎖が確認できる。図14(a)デンタルエックス線画像上で根尖部に透過像が認められる。(b)(c)CT画像上で根尖において2根管に分岐しており、赤い矢印の舌側根尖に透過像が認められる。(d)垂直加圧充填を行うことで2根尖ともガッタパーチャによる封鎖が得られている。MTAフィラペックス。適度な流動性と操作性を兼ね備えたMTAベースのシーラー。硬化時に膨張することでより高い封鎖性を可能にした。※3 DENTAL PRODUCTS NEWS 1987年9月発行コンタクト・シェービング法による根管形成. J.M.LAURICHESSE他Dental Products News 223 19