Dental Products News222

Dental Products News222 page 9/28

電子ブックを開く

このページは Dental Products News222 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
Dental Products News222

誤り、歯根内湾側の菲薄なデンジャーゾーンにパーフォレーションを起こしてしまうケースが多く見られます。パーフォレーション部はセメントと入り混じった肉芽が入り込んでいたため、マイクロエキスカを用いて周囲の感染源除去を行い、止血を確認し、MTAセメントにてパーフォレーションリペアを行いました。患者は咬合痛を訴えていたため、根管治療を進めながら症状の経過を見ていくこととしました。このように、長期間の経過観察が必要なケースでは、テンポラリークラウンの材料にルクサテンププラスオートミックス(以下ルクサテンプ)を採用します。ルクサテンプはテンポラリークラウンの材料としては非常に物性が高く、硬さ、耐摩耗性に優れ、常に安定した咬合を維持してくれます。また、研磨性も非常に高く審美的にも優れた材料です。使用するには、術前にシリコンパテで患歯の印象を採得するシリコンコア法が簡便です。シリコンコアにルクサテンプを填入する際には、マージン部を一層カーボランダムポイントなどで広げておくと薄くなりすぎず、調整しやすくなります。填入後はシリコンコアを正確に口腔内に戻し、浮き上がりの少ないようしっかりと保持します。口腔内で4分以上経過後にシリコンコアごと除去し、最終硬化させます。マージン調整はディスクなどで行い、咬合調整後研磨します。本症例では、6ヶ月ほどの経過観察期間に臨床症状が消失したため、根管充填を行い、ファイバーコアを築造しました。その後、最終形成に合わせ、ルクサテンプのテンポラリークラウンのマージン調整を行ったうえで印象採得し、オールセラミックスクラウンをセットしました。症例を通し、脱離、破折などのトラブルなく終始安定した咬合関係を維持し、長期間の経過観察で起こりがちなクリアランスの低下、遠心歯の近心移動などの問題が起きず、機能的にも、形態的にも満足のいく最終補綴物をセットすることができました。このような長期の経過観察が必要な歯内療法の臨床においてもルクサテンプは、安心して使用できる材料であると、筆者は感じています。図10図11図12マイクロスコープ下でマージン調整を行った。ルクサテンプは非常に硬く、硬化後のマージン調整が行いやすい。図13咬合調整、研磨後の口腔内写真。感染根管治療を開始した。図14ラバーダム装着後、遠心根のポストを除去すると、髄床底直下内湾側にパーフォレーションを認めた。図15MTAセメントによりパーフォレーションリペアを行い、感染根管治療を進めながら、長期的な経過観察を行った。図16経過観察後、臨床症状が消退したため、根管充填を行った。経過観察中、テンポラリークラウンの形態、マージンを修正し歯肉の状態を整えていく。ルクサテンプは高い物性により長期的な経過観察中も安定した咬合状態を維持できる。最終補綴はオールセラミックスクラウンで行った。オールセラミックスクラウンセット時。最終補綴物に対する歯肉の状態も安定している。オールセラミックスクラウンセット時のデンタルX線写真。咬合痛は消失し、臨床症状なく安定している。Dental Products News 221 7