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炭酸ガス&半導体レーザー・オペレーザーの活用新型オペレーザーデュアルウェーブの可能性を探る横瀬敏志明海大学歯学部機能保存回復学講座保存治療学分野教授はじめに今回、ヨシダから13年ぶりに新型のレーザー機器がリリースされた。これまで炭酸ガスレーザーを中心に展開してきたオペレーザーであるが、今回の新型オペレーザーデュアルウェーブは炭酸ガスレーザーと半導体レーザーの二波長を一台のマシンで使用できるようになった(図1)。さらに炭酸ガスレーザーの照射には冷却方法として、水または生理食塩水のどちらの噴霧も使用できるように設計されている。この画期的な冷却効果によって、今まで見られた炭化層を形成せずによりシャープな切開・蒸散が可能になった。これまでにレーザーに関して臨床的な効果のエビデンスを明確にするために多くの基礎的な実験を続け、細胞生物学的なエビデンスを明らかにしてきた。このコンセプトを今回のレーザー開発にも生かし、新型オペレーザーデュアルウェーブの生物学的な効果を十分に検討し、EBMを中心に患者の歯科治療に貢献できるレーザーを目指した。今回はデュアルウェーブの特徴の概要を組織反応とともに説明し、実際の臨床応用例を提示し今後の展望について触れてみたい。1.高出力炭酸ガスレーザー新型オペレーザーデュアルウェーブに搭載されている炭酸ガスレーザーは従来の空気による冷却効果に加えて、水または生理食塩水による噴霧機能が加わった。同時に最高出力を25Wに設定し、リピート照射により軟組織に対して熱によるダメージを極力少なくして切開能力を向上させることが可能となった。空気冷却(Air)と生理食塩水噴霧(Mist)による皮膚の切開実験を示す(図2)。Mistによる切開では熱による変性像(*)が少なく、切開が効率よく行われていることがよく分かる。また、炭酸ガスレーザーの特徴であった炭化層がほとんど認められずに切開が可能となった(図3)。さらに、レーザー光を回転させる(スキャナー機能)ことが可能となり、短時間で広範囲の蒸散図1B図2空気冷却(Air)生理食塩水噴霧(Mist)A半導体レーザーフィリオ▲炭酸ガスレーザーネオス▲**オペレーザーデュアルウェーブ図3デュアルウェーブの全体像(A)と半導体レーザーを分離(B)したところを示す。炭酸ガスレーザーはジョイント式で外部注水(精製水と生理食塩水)の切り替えが可能。同じエネルギーで炭酸ガスレーザーを空気冷却(Air)と生理食塩水噴霧(Mist)でラット皮膚に照射した後のH-E染色像を示す。*で示す熱による変性像がAirに比較してMistの方が少ないのがわかる。図4MistAir生理食塩水噴霧(Mist)と空気冷却(Air)で鳥のササミ肉に炭酸ガスレーザーを照射した。Airに比較してMistの方が炭化層が少ないのがわかる。写真はラットの皮膚にスキャナー機能つきのハンドピースで炭酸ガスレーザーを照射したものである。左はレーザービームが回転してハンドピースは固定している。正確な円状の照射が可能である。右はそのままハンドピースを移動させたもので、広範囲の照射が簡単に再現できる。図5図6ネオス(炭酸ガスレーザー)のスキャナー機能付きのハンドピースを用いてインプラントの二次手術を行っているところを示す。回転するレーザービームにより円状に歯肉を蒸散できる。噴霧効果により炭化層はみられない。フィリオ(半導体レーザー)は分離式で軽量のため持ち運び可能である。また、充電式で最大5Wまで出力可能である。低出力レーザー治療(LLLT)から高出力レーザー治療(HLLT)まで可能である。20 Dental Products News 221