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キトサン含有止血・創傷処置材(商品名:ヘムコン)は、2001年に米国陸軍での使用を目的に開発された止血材で、イラク戦争の際、負傷した場合の止血用に兵士に支給され効果を上げたため、その後医療用に製品化された。本材の抜歯、歯周外科手術など口腔内小手術に対する報告例はあるが、口腔がん手術への報告は見当たらない。今回3例の口腔悪性腫瘍手術に対し、本材を応用したので報告する。〈対象〉〈方法〉◯症例:下顎歯肉扁平上皮癌/2例上顎悪性黒色腫/1例◯術式:下顎骨辺縁切除術/2例上顎骨部分切除術/1例3症例とも口腔内アプローチにより顎切除を行い、開放創(2期治癒)とするため露出した骨面に、直接本剤を圧迫、貼付した。図1ヘムコンデンタルドレッシング。キトサンを使用した製品です。●症例2/43歳男性主訴:口蓋の黒色腫瘤●初診:2014年9月●既往歴:なし●常用薬:なし●家族歴:なし■臨床診断正中上顎歯肉悪性黒色腫cT3N0M0 StageⅢ■処置および経過生検を行い、悪性黒色腫の診断を得た。2014年10月全身麻酔下に上顎部分切除術を施行した。図6口腔内の状態図7画像所見2014年3月頃より上顎前歯部口蓋側歯肉の腫瘤を認めたが、放置していた。近医歯科を受診し、悪性腫瘍が疑われたため2014年9月当科を紹介受診した。CT所見PET/CT所見図8術中所見切除後止血後口内法により上顎骨部分切除術を行った。切除した骨面に、キトサン含有止血材を貼付し止血を行った。出血量は45gで、止血操作は容易であった。図9術後経過術後4日目術後21日目術後6週目治療は良好であり、術後6週目には上皮化した。Dental Products News 220 7