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MTAシーラー「MTAフィラペックス」を活用するMTA製材の特性?MTAを知って使おう?その2: MTAフィラペックス(MTA Fillapex R)を硬化させる森川公博森川歯科クリニック/会津若松市開業MTAセメントは、臨床的に優れた材料であることは、これまで数々の報告がなされて明らかになってきており、歯内療法領域で注目の材料である。その臨床応用については、国内では歯髄覆罩材としてのみ認可されたが、MTAの応用は開発された元来の逆根1)管充填材としての使用法、穿孔部に対しての填塞のほか、根管充填材としても使い方の紹介がされている2)。しかし、根管充填材として直視できない根管内の深部にまで確実に輸送、硬化させることは、ただでさえ扱いにくい材料であることからも、至難の業ともいえる。特に、MTA製材の臨床応用にあたっての問題は「硬化」であり、その臨床成績を上げるためには、うまく硬化させることにある。先に、MTAアンジェラスを硬化させるには、DPN215号で述べたように粉液比と練和法、それに加えて水和反応を進めるため、追加の水分の補給が必要であることを示した3)。また、昨年2月に発売された「MTAフィラペックス」は、国内初のMTA系根管充填用シーラー4)として多くの臨床家に期待を持って受け入れられたようである(図1)。しかし、MTA系であるが故に、これまでの根管充填用シーラーと同様に考えられて「固まらない」といった声も聞かれるようである。ここでもMTAの性質を理解して臨床応用する必要性があると思われる。そこで、今回はMTA系根管充填用シーラー「MTAフィラペックス」の性質、特に硬化について検討した。これをより確実な臨床成績を期するための一助にできればと思う。1.MTAフィラペックスの特長「MTAフィラペックス」はMTA系の根管充填用シーラーであって、MTAそのものではない。MTAフィラペックスは根管充填用シーラーとして操作しやすいように、サリチレートレジンなどレジンとヒュームドシリカ、酸化ビスマス、二酸化チタンなどが配合されている。しかし「MTAフィラペックス」の硬化については、室温中で120分間経っても硬化しなかったということは先に述べた通り4)である。また、アクリル根管模型に填塞し、これを室温中で2週間放置したところ硬化がみられず、さらに2ヶ月を経ても容易にインスツルメントの挿入ができた(図2)。従って、ベースペースト・キャタリストペーストで練和後に、多少の時間は必要でも硬化体が得られるものと思っていたが、表面は固まっているようにみえても全く硬化していなかった。MTAをその性質から硬化させるには、まず粉液(水)比と練和法が重要な要因となる。しかし、「MTAフィラペックス」は、ベースとキャタリストからなっており、この時点で水分の入る余地はない。さらにオートミックスでは、練和の必要すらない。従って、粉液(水)比と練和法に関しては除外すると、その他の要因は何になろうか。この観点から、いかにして硬化体を形成させるかについて実験を試みた。図1M T Aフィラペックス図2 MTAフィラペックスの硬化図3試験器材試験後のビニールチューブ適度な流動性と操作性を兼ね備えMTA成分配合の根管充填用シーラーです。オートミックスタイプとハンドミックスタイプの2種。2ヶ月経過後にインスツルメントを挿入したところ、硬化がみられない。試料作製に用いた内径4mm、厚さ1mmのビニールチューブを15mmにカットしたものと色素浸漬用容器を使用。14 Dental Products News 220