Dental Products News215 page 15/28
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Dental Products News215
が存在しても固まるために、持続的なカルシウムイオンを放出して抗菌作用を示し3)、リン酸の存在下では表層にハイドロキシアパタイトが生成されることで優れた臨床成績を挙げているが、うまく硬化させることが難しい。今回は、M TAアンジェラス(図1)の硬化のさせ方について述べてみる。MTAの操作性の悪さ、扱い難さは、周知の事実である4)。M TAアンジェラスに付属している液体は精製水である。MTAの硬化は水和反応であり、水をいかにコントロールできるかで、硬化物の性状が大きく左右される。MTA硬化体は、混水比、練和方法、湿度に大きな影響を受ける。混水比は低いほうが物理的性質は向上するが、操作性は、パサパサして低下する。また、練和が十分でなければ、気泡が多くなり溶解しやすくなる。従って、練和方法次第で臨床成績が左右されることになる。通常粉液比は3:1であり、平均初期硬化時間は従来のM TAで16 5分前後であることからM T A アンジェラスの15 分は、極めて短時間である。しかしこれはあくまで初期硬化の時間であって、硬化体が得られる時間ではない。水和反応が継続して硬化は進行し続けていく。ちなみに、工業用のそれは半年先まで続くとされる。これらのことを踏まえて、MTAアンジェラスの付属の計量スプーン1杯に、精製水1滴を加え金属スパチュラで3 0 秒間練和するが、気泡の迷入のない均一なペースト状にするにはガラス練板を用いたほうが良いと思われる(図2)。練和物を練板上に室温で放置すると、硬化体とはならずに、触れると簡単に崩れてしまう(図3)。MTAアンジェラスが、薬事上承認されているのは覆髄材としてである。直接歯髄覆髄材としては硬化するものと硬化しないものにわけられるが、硬化しないものには貼付後に流し込みセメントによる裏層が必要となる。いずれにしても露髄面を確実に覆い細菌の侵入を防止することによって、術式を成功に導くものである。従って、露出した歯髄を封鎖するためには、MTAアンジェラスを確実に硬化させることにある。そこで、これまで示してきたMTAの性質をふまえて、いかに硬化させるかの実験を試みた。M TAアンジェラスをガラス練板に合成樹脂製板に填塞したMTA。(左)被覆面に、精製水を湿らせた綿球を置いたもの。(右)被覆面に乾燥綿球を置いたもの。左はMTA の硬化がみられ、右は探針で触れると崩壊した。図7図5図62.MTAアンジェラスを硬化させるには3 .実験でわかったMTA アンジェラス硬化の実際湿綿球乾燥綿球湿綿球乾燥綿球