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Dental Products News211
適切量を使用する点からも、練板を使用されたい。オートミックスチップで練和されたMTAフィラペックスは、レンツロで容易に根尖側まで輸送でき、ガッタパーチャポイントでの加圧根管充填が可能となる。もちろんMTAフィラペックス単体での根管充填でも良いが、DPN誌上で紹介したNi-Tiスプレッダーとメタバイオメイト社製ガッタパーチャポイント(図2)との組み合わせで、まさしく10~12)理想的な側方加圧根管充填が可能となる。すなわち緊密に主根管が充填されることで、副根管や側枝にMTAフィラペックスを流動して緊密に填塞されることになる。特に、根尖周囲組織の治癒能力に優れた歯内治療用シーラーであることで、これまで禁忌または、困難な症例に対しても積極的に応用できる可能性を有していると思われる。実際、私の臨床で「なかなか不快症状が消失しなかった」「細菌培養検査で陰性が得られない」「根尖部透過像が大きい」などの例に応用し、良好な成績を得ている。ただ、硬化時間は120分とされていることから、根管充填の作業時間が不足することはないが、根管充填後直ちに支台築造に移ることは慎みたい。室温で120分経っても硬化を認めることはできなかったからである。3.操作手順改めての必要もないかもしれないが、MTAフィラペックスを用いた側方加圧根管充填の手順を示しておく(図3~11)。1根管は通法に従って洗浄し、ペーパーポイントか綿栓等で水分を残さないようにするとともに、マスターポイントの試適など前準備を行う。2MTAフィラペックスにチップを付け、シリンジを押すだけで2種類のペーストが練和されるため、清潔な紙練板上に必要量を延ばすように出すと操作しやすい。3レンツロなどの根管輸送用インスツルメントを用いて根管内に填塞していく。4マスターポイントにもシーラーを付着させ、設定位置まで充填し、Ni-Tiスプレッダーで圧接して、アクセサリーポイントの挿入余地を作り、スプレッダーのテーパーに合致したアクセサリーポイントで充填、これを繰り返していくが、このことでシーラーは根管壁とガッタパーチャポイントの微小な空隙を満たしていくと共に、ガッタパーチャが可塑変形できない側枝、分岐部を填塞していくことになる。5充填後は加熱したインスツルメントで余分な部分を焼き切る。6支台築造などの補綴処置に入るのは、次回とする。現在、市販されているMTAセメントは、高価であるに加えて、覆髄材としての薬事承認のみであり、加えて数々の周辺インスルメントが用意されており、煩雑であるにもかかわらず、その適用範囲は限られたものであった。しかし、MTAを根管充填用シーラーとして臨床応用することで、MTAの持つ優れた性質を広く提供できることは、患者にとっても我々臨床家にとっても朗報である。このように、これまでになかった根管充填用シーラーであることから、M T Aフィラペックスという優れものをぜひ診療室に常備していただきたい。これがあることで、いざというときの頼みの綱となり、診療の幅が広がるように思われる。今回は、MTAフィラペックスの発売に合わせた速報であり、MTAについての情報やMTAフィラペックスの詳細などは、引き続き誌上報告していく。図3図4図5根管充填の準備をし、根管内を洗浄、吸湿させておくMTAフィラペックス(シリンジタイプ)の準備。オートミックスチップを装着する図9図10図11スプレッダーでアクセサリーポイントの挿入余地を作り、アクセサリーにもシーラーを少量付けていく根充後付属の紙練板に適量を押し出す余分なガッタパーチャポイントを除去●参考文献1)Torabinejad M, Watson T F, Pitt Ford T R , Sealingability of a mineral trioxide Aggregate when used asa root end filling material .J Endod 1993 ,19;591-5952)泉利雄,松本典祥,松浦洋志,栄田太郎,福島昌絵,片山知子,岸保光,白水一崇,宮地久崇,佐藤寛子,阿南壽.MineralTrioxide Aggregate(MTA)の物理化学的性質、生物学的特性と臨床応用.福岡歯大誌2008,34:93~101.3)Santos AD, Moraes JCS,et al,Physico-chemicalproperties of MTA and a novel experimental cement.Int Endod 2005, 31;376~379.4)Ford TR, Torabinejad M,Abedi HR,et al,Usingmineral trioxide aggregate or a calcium hydroxidecement. J Am Dent Assos 1996,127;1491~1494.5)吉羽邦彦,鞍立桃子,重谷佳見,韓臨麟,吉羽永子,興地隆史.Mineral toxide aggregate (MTA)の物理学的特性と直接覆髄後の歯髄反応.新潟歯学会誌,2009,39;181~182.6)牛窪敏博.MTAの新しい適応性.the Quintessence,2010,29;589~607.7)Milton CK, Edson AC,et al.Hydrogen ion and calciumreleasing of MTA Fillapex R and MTA-basedformulations ,RSBO ,2011,Jul-Sep.8{3};271~276.8)Ana PMV, Rodrigo SC,et al.Comparison of MTAFillapex radiopacity with five root canal sealers ,RS-BO.2011Oct-Dec, 8(4);404~409.9)Gomes-Filho,JE;Rat tissue reaction to MTA FILLAPEX R,Dental Traumatology,2011; doi:10.1111/j.1600-9657.2011.10)森川公博:側方加圧根管充填を確実に行うためにその3-システム化が可能となった根管充填-DPN,196,14~16,2012.11)森川公博:側方加圧根管充填を確実に行うためにその4-システム化根管充填の要点;アクセサリーポイントの使い分け-DPN,201,20~21.2013.12)森川公博:側方加圧根管充填を確実に行うためにその5-システム化根管充填の要点;歯種別への対応―DPN,207,19~21.2014