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1レジン系シーラーの象牙細管の少ない根尖側での低い接着性と重合収縮。2非レジン系シーラーの根尖歯周組織の細胞毒性や刺激性、ランダムに生じる根管壁との間の硬化時のギャップ。MTAフィラペックスシーラーは象牙細管の少ない根尖側でも硬化時膨張(約0.09%)による機械化学的封鎖性と象牙質の接着性、そして高い生物学的適合性と抗菌性も同時に有している。MTAフィラペックスシーラーは40%のMTAを含有し、サリチル酸系レジンを含有することで操作性を向上させている。操作時間は60分で硬化時間が2時間10分と適度に調整されている1)。また硬化するまでの間に、カルシウムイオンの放出とp Hの上昇で殺菌作用とアルカリフォスファターゼの活性化による石灰化と損傷部の治癒促進を促すと言われる2)。これにより根管充填前にスメアー層が除去できていれば、MTAフィラペックスシーラーはレジンとM TAにより歯冠側から根尖側まで象牙質と接着し高い封鎖性が得られる。また適度なフローも有しているので加熱垂直加圧充填をしなくても側方加圧充填だけでフィン、イスムス、および側枝などの細かな隙間にも入り込むことが報告されている3)。加熱充填する場合には耐熱温度が150度までなので、この温度を上回らないように設定する必要がある。使用方法は以下の通りである。1シーラーの混和。2メインGPポイントにMTAフィラペックスシーラーを塗布して根管内に塗る。3システムBで根尖側を加熱加圧充填(Downpack)、シーラーと1本のメインポイントだけのシングルポイント法またはスプレッダーで側方加圧充填法。4BackFillする場合はプラガーでシーラーを再度根管内に塗布しシステムBコードレスで充填、シングルポイント法と側方加圧充填法では根管口から出ている余剰分のG Pポイントをプラガー等で焼き切り除去する。●参考文献1)Vitti RP, Prati C, Silva EJ, et al. Physical properties of MTAFillapex Sealer. J Endod 2013;39:915?8.2)Darvell BW, Wu RC.“MTA”-an hydraulic silicate cement: reviewupdate and setting reaction. Dent Mater 2011;27:407?22.3)Kuc,i A, et al. Sealer Penetration into Dentinal Tubules in thePresence or Absence of Smear Layer: A Confocal LaserScanning Microscopic Study. J Endod 2014;40:1627?31.図2根管充填材とシーラーの収縮非レジン系シーラーレジン系シーラー収縮部は点在する収縮部は片側に集中するガッタパーチャのみで充填された根管を染め出すと、歯質接着性がないのと熱膨張から室温へ戻る際に収縮するので、シーラーを使わないと根管壁との間に隙間が生じる。またレジン系シーラーも重合収縮するので一方は接着するが、もう一方が根管壁から剥がされるので隙間が生じる。非レジン系シーラーの場合では硬化時に不規則に収縮するので隙間は点在する。図6術前図7術後図8術後3ヶ月右上第二小臼歯のX線写真。大きな根尖透過像を認める。根管数は2根管で根尖奥で1根管になっている。この根管合流点より根尖側には根管充填材は到達していない。ガッタパーチャポイントとM T AフィラペックスシーラーによりシステムBによる加熱加圧充填後のX線写真。遠心側の側枝にも充填されていることが認められる。E D T Aでスメア層を除去し次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗浄したのみではあるが、根尖側の細い側枝にもしっかりとシーラー及び軟化したガッタパーチャ充填材が入り込み封鎖できることがわかる。根管充填後3ヶ月後のX線写真。術前にあった大きな根尖透過像は縮小していることがわかる。主根管の機械的拡大による感染除去が治癒に大きく貢献していることが推測できるが、複雑な根尖部根管にMTAフィラペックスシーラーが入り込み高い封鎖性により細菌の栄養源をシャットアウトし抗菌効果が作用したことも考えられる。