Dental Products News203

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「治療=ゴール」という意識が強いため、治療後になって、口腔管理の重要性を説いたところで、「こんなに継続して管理をしなくてはいけなかったのか」と思われる訳です。そうではなく、治療を始める段階から治療のゴールにふさわしい環境作り、管理を安定して行うことの重要性、将来にわたって継続的に維持していくことの重要性、これらをひとつのシステムとして伝えていくことが大切ではないかと考えています。口腔内を健康的に保つためにはこのシステムの確立が必要であると思います。つまり治療計画の段階でのメインテナンス提案が不可欠です。真鍋:いろいろな歯科治療の選択肢のある中で、最善の治療を立案する時から、治療が終了した後に健康的な状態を長期間維持できるかを、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士も含めてフォローアップしていくことが重要であり、治療後の状態をいかにして継続維持(ING)していくかが大切だと考えています。井上:患者さんが来院すると即治療をするべきではないと思います。もちろん、急を要する症状であれば治療すべきだと思います。ですが、治療が始まって、「次はここを治療してください」と言われたら、次の治療をするという主訴型の治療方法は、その後メインテナンスの重要性を説いたところで、なかなか理解してもらえません。結局その治療の延長線上でまた次の治療を行う訳です。それでは患者さんの口腔ケアへの価値観は変わらず、「治療=ゴール」という考え方のままとなってしまいます。患者さんには歯が悪くなった理由が必ずあります。患者さんの意識を変容させるためにも、同じ問題を再発しないためにいかに定期管理していくかを伝えていくことが必要です。真鍋:そこには歯科医院側の意識も重要ですね。井上:はい。歯科医師や歯科衛生士だけではなくスタッフ全員が、予防歯科の実現が口腔健康の継続的な幸せに繋がるというミッションを揺るぎなく持つことだと思います。真鍋:そして、歯科医院の患者さんへのチームアプローチが非常に大きな鍵になります。井上:患者さんからの信頼は、「どれだけ安定して快適に過ごせたか」だと思います。そのためには予防が必要です。しかし予防の意識は、治療が終了してからでは、急に生まれてはきません。ですから、先生や歯科衛生士も含めて、チームアプローチとして、予防によって口腔管理を実現するという理念に向かって、その必要性を常々患者さんに伝えることで、ようやく患者さんに口腔ケアへの意識が定着して行動変容になってくると思います。真鍋:このチームアプローチによって、患者さんの口腔環境が健康的な状態で長く保たれることが、患者さんの歯科への信頼につながります。井上:その通りです。「予防=口腔健康の継続的な幸せである」という理念が浸透している医院は、医院が一丸になっているという雰囲気を患者さんも感じ、この病院に任せようと思われるようです。このような患者さんの歯科への信頼・期待が現在の歯科医療では必要です。大学での予防教育真鍋:私は予防管理の大切さ・概念を学生の時から教育したいと考えています。例えば臨床実習に出たときに、う蝕のない口腔内を見せ、いかに口腔管理が重要であるかということを学生に伝えていきたいのです。井上:大学で予防管理を教えることは、学生にとって非常に喜ばしいことだと思われます。歯科医師という道のゴールは患者さんの幸せですから。学生の時代から、患者さんの幸せを考えられる歯科医師になる教育を受けられることは、私たち開業医とすれば非常にありがたいです。真鍋:開業医として、予防歯科をする上で、例えば価格設定は難しいことだと思うのですが、いかがですか?井上:価格設定に関しては、こういう検査・施術をやるとしたらこれくらいの価格というような基本的なガイドラインがあるべきだと思います。価格はその人の継続的で大切なモチベーションになります。だから医療人として自信を持って提供をすべきだと考えています。医療法人社団いのうえ歯科医院理事長(北海道帯広市開業)歯学博士、経営学博士島根大学医学部臨床教授、他国内外4校で客員講師井上裕之先生