Dental Products News203

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より精密な補綴物作製のための注意点撤去時に歪みが少ないから『デントクラフト・日の丸トレー』を使用しています。行田克則松山智子上北沢歯科?東京都世田谷区開業当院の印象採得テクニックをご紹介します。1974年にアーニー・G・ローリッツェン先生のATLAS of Occlusal Analysis(日本では「咬合分析の臨床」として五十嵐孝義先生と青木英夫先生の和訳で紹介された)にアルギン酸でも十分な咬合分析ができる印象採得が可能であると記載されています。時代は21世紀となり、さまざまなメーカーからより精度が高い製品が発売されていますが、ローリッツェン先生の教えは今も決して否定されるものではないように思います。とはいえ、ちょっとした配慮が必要でしょう。今回、当院で実践している「精度の高い印象採得のためのポイント」を紹介したいと思います。?印象材はメーカー推奨硬化時間の1.5倍取ります。万一、遊離アルギン酸が残らないよう、未重合部がないよう配慮します。?トレーは『デントクラフト・日の丸トレー』を使用します。印象時に一番歪みやひずみがでるのは撤去時です。『デントクラフト・日の丸トレー』は堅牢で一体成形のため歪みやひずみを極力抑えて撤去できるため、精度の高い印象採得が行えます。網トレーはひずみが大きいので使用はしません。例えば、レジン製各個トレー使用の症例においては、最低でも使用の2日前までにトレーを完成させ、完全重合したトレー(臭いも完全にとんでいるトレー)を使用します。?撤去時には、齦頬移行部からシリンジでエアーを送り込み、陰圧から陽圧にして撤去します。決して、トレー自体をシーソー運動させて陽圧にしないようスタッフに指導します。下顎で撤去しにくい場合は、患者さんに舌先でトレーを持ち上げてもらうようにすると簡単に外せます。?撤去したトレーは普通石膏をまぶして水流下で良く洗い流すことで、唾液・ムチンなどがアルギン酸表面に残留しないように配慮します。?トレーは湿箱に保管し、可及的に早く石膏を流します。『デントクラフト・日の丸トレー』は長年使用しているトレーです。今回は、より精密な印象採得を必要とされる咬合診断のための模型作製を中心にご紹介しますが、補綴物作製にあたっても、これまで述べてきたような配慮が必要であることは言うまでもありません。齦頬移行部が低く設定された日本人の顎形態にあったトレー形状のため「歯が当たる」「患者さんが不快に感じる」ことがありません。堅牢で撤去時に歪みがない、また採得後にトレーから印象材を除去する際も容易であるなどの特長を有しているため、当院では長年『デントクラフト・日の丸トレー』での印象採得を行っています。図1図2図3図4日の丸トレーは、堅牢なためトレーの変形が少ない。しかも日本人の顎の大きさに合わせて設計されている。筆者はメーカー指定よりやや硬めとなるように練和する。できれば機械練和が良い。硬化時間はメーカー推奨の1.5倍とり、完全硬化させる。エアーを送り込み、陽圧にして撤去する。決して、トレー自体をシーソー運動で陽圧させないよう注意する。図5図6図7図8撤去時は顎を固定させて一気に撤去する。トレーが変形しないよう注意する。下顎撤去時はトレーを舌で上げてもらう。普通石膏をまぶした後、水流下で水洗することで、唾液・ムチン・遊離アルギン酸などが残留しないようにする。可及的に素早く石膏を流すことが鉄則。少しでも時間をおく場合には、湿箱に保管する。ちょっとした配慮を行うことで、精密な石膏模型が作製できる。