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概要:
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スク部位における齲蝕予防法としては、レジン成分をこの部に浸透させることが1970年代に論文発表されている(J Dent Res1975;54:999-1008)。齲窩を形成していない初期エナメル質齲蝕病巣は、表層下脱灰として特徴づけられる。また、その病巣は健全部に比較して数%間隙が増加している表層部、その表層下で無機質成分の減少と間隙の増加が著明な病巣体部、その周囲を取り囲む不透明層ならびにその深部の透明層とから構成されている。もちろん、この病巣では石灰化と脱灰とが繰り返されているのであるが、ハイリスク患者においては、この段階で齲蝕の進行を停止させる積極的な臨床手法として、脱灰によって生じたエナメル質間隙にレジン成分を浸透させることが検討されてきたのである。レジン成分を初期齲蝕病巣部に浸透させるこの手法は、臨床的な有効性も示されており、隣接面に対してフロッシングを行った場合と比較して、有意に高い齲蝕予防効果が発揮されたとされている(Caries Res2006;40:382-388)。この手法で重要となるのは、脱灰病巣の全層にわたってレジン成分を浸透させることである。病巣深部までのレジン成分の浸透があれば、エナメル質表層にレジンが残存していなくとも、脱灰はそれ以上進行しないことが判明している(Caries Res 2006;40:124?129)。そこで重要になるのが、レジンを浸透させるために用いられる前処理材と、レジン成分の組成である。表層下のエナメル質の空隙にレジン成分を浸透させるためには、最表層のエナメル質を脱灰させる必要があるが、ICON(アイコン)では15%の塩酸(アイコン・エッチ)で2分間の処理を行う。水洗、乾燥後、エタノールを主成分としたアイコン・ドライを30秒間塗布し、エアブローを行った歯面にアイコン・インフィルトラントを3分間塗布し、余剰部を除去して40秒間照射する。さらに、レジンの浸透を確実にするために、インフィルトラントの塗布と照射を繰り返し、MiCTを終了する。ICON(アイコン)が必要とされる症例は少なくないと考えられ、今後の臨床使用の拡大が期待される。図10図11図12歯列の不正もあったために、隣接面での齲蝕を生じた症例である。歯間分離を行うことで、アイコンを用いることを容易にする。アイコン・エッチを挿入する。このアプリケーターを用いることで、狙った歯面を処理できる。図13図14図15水洗およびエアブローを行う。アイコン・ドライは、適用が容易なニードル式である。アイコン・インフィルトラントは、専用のアプリケーターを用いるとともに、塗布の確実性を確認するために適切な色調を有している。図16図17図18光線照射によって、レジン成分の確実な重合硬化を得る。アイコン・インフィルトラントを再度塗布、照射を繰り返すことでレジン成分の浸透を確実にする。ハイリスク部位の一つである隣接面における積極的齲蝕予防法として、今後の臨床使用の拡大に期待がもたれる。