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新しいNiTiファイル「K3 XF」の実力Ni-TiロータリーファイルK3 XF石井宏石井歯科医院?東京都港区開業日本でもようやく歯内療法領域で変革の波が押し寄せてきた感がある。ここ数年、Ni-Tiロータリーファイルが日本で普及し始めた現象もその中の一つと言ってよいであろう。Ni-Tiロータリーファイルによる根管形成は先進国の中では大きな潮流であり、日本でも当然その方向に向かうべきことと感じているが、様々な理由で先進国の中でもとりわけその広がりが遅れていることを個人的には非常に残念に思う。今回紹介するK3 XFは先代K3の進化型である。先代と比較した場合の最大の違いはR相のNi-Ti合金を使用することにより得られた、弾性と疲労破折に対する抵抗性の向上である。一般的にNi-Tiロータリーファイルに求められる主要な性質を図1図1Ni-Tiロータリーファイルに求められる主要な性質?弾性?破折抵抗性?切削効率?扱いやすさ(screw-in effectの低さ)?根管維持性(centering abilityの高さ)?切削片の歯冠側への排出性?その他図2Ni-Tiロータリーファイルの性質を決定づける主要な要因?Ni-Ti合金の種類?Ni-Ti合金の熱処理に挙げる。残念ながらこれらの項目を全て満たすファイルは現時点で存在しない。いずれかの性質を優先すれば、他方の性質をあきらめると言った具合の取捨選択をしなくてはならないからだ。そしてこれらの性質を決定づける主要な要因を図2に挙げる。この事象の相関関係を一例挙げて説明する。本来の根管から逸脱せずに根管の中心を維持する能力を向上させるためにラジアルランドという形態を付与する。このことにより湾曲した根管においても可及的に根管の変位を防止できる。しかしながらそのデザインを付与する代償として、単位体積あたりの金属量が増えることになり、結果としてファイルの弾性に関しては妥協することになる。また切削効率に関しても切削角度(Rake angle)を鋭くするか鈍くするかでやはり金属量に影響を与え、弾性に対しては相反した能力を選択することになるのである。これらを踏まえたうえでK3 XFについて考図3K3 XFの特徴的な切断面ポジティブレイクアングル効率的に切削できるよう刃が鋭角についている。察してみる。K 3 XFの特徴的な切断面(図3)を見ていただきたい。非常にユニークな形態である。メーカーの説明によれば、3つのラジアルランドと切削刃にはポジティブレイクアングルが付与されている。これらは先代K3と同じデザインであると言ってよいであろう。個人的な思いと経緯であるが従来のK3は率直に言って「硬」く、私の臨床に使用することはなかった。しかしK 3 XFは、R相のNi-Tiを使用することにより、その欠点を克服したと言ってよいであろう。非常にバランスのとれた根管形成用ファイルに変貌をとげ、テーパーや根尖サイズに至っては今まで通り、症例に応じた選択ができるに足りる多くの種類を用意してあり、総合得点としてかなりの高得点を与えたい。Ni-Tiファイルを初めて導入する先生もスムーズに導入できるファイルの一つである。使用方法については、症例を通しながら説明を加えていく。▲ラジアルランドラジアルランドが、切削刃をサポートし破折抵抗性を上げる。?ファイルのデザイン?ファイルの形成動作?その他K3 XFのパッケージとファイル。3つ目のラジアルランド根管中央を維持し根尖部における根管変位を防止するように設計されている。ラジアルランドリリーフ根管壁の摩擦を軽減するためにラジアルランドリリーフが付与されている。