Dental Products News197 page 5/28
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概要:
Dental Products News197
と言えるでしょう。この回転速度の違いは、技術的には「小型直流モータ」と「エア駆動によるタービン」という構造的違いということになりますが、回転速度の違いは用途の違いを意味しています。等速のハンドピースを装着したマイクロモータ(以後、マイクロモータHPという)の用途※4は、象牙質・軟化象牙質・レジン・軟質金属、形成の仕上げ、と広範囲であること※4が分かります。一方、エアタービンの用途は、主として、歯の硬組織、硬質金属となっており、インレー・アンレーや精密切削形成には、FGダイヤモンドポイント、FGカーバイドバー(シャンク径1.6mm)※5が用いられます。マイクロモータHPはHPバーまたはCAバーを用いますが、シャンク(ハンドピースに装着する部分)径はφ2.35mmであり、低速でかつ大きなトルクを利用して切削する方式であるのに対し、エアタービンはシャンク径φ1.60mmのFGダイヤモンドポイントやFGバーを用いて超高速回転で切削する方式となっています。日頃慣れ親しんでいるとマイクロモータHPはトルクで、エアタービンはスピードでということを概念的あるいは経験的に感じていると思いますが、シャンクの太さの違いは、トルクで削るのとハイスピードで削るのとの違いを如実に現しています。効率の良い切削マイクロモータHPを低速回転型単気筒エンジンに、エアタービンを高速回転型多気筒エンジンに例えることができると思います。オートバイや車のエンジン特性図のように、トルクと回転速度の関係(T-N特性)や回転速度と仕事率の関係(N-W特性)を示すことができます。図4は一般的な直流モータのT-N(トルク-回転速度)特性図です。通常、直流モータは停止時のトルクが最大となり右肩下がりとなります。一般的なマイクロモータのT-N(トルク-回転速度)特性図を図5に示します。マイクロモータはフィードバック回路が働いて最大トルクまではトルクの変動に左右されずに回転速度は一定になります。この例では、トルクが20mN・m(旧表示.200gf・cm)に達するまでは回転速度は最大の40,000回転毎分を維持しています。したがって、図6のように仕事率は回転速度に比例し、最大仕事率は最大回転速度時に発生し63W程度となります。次に、一般的なエアタービンの回転速度と仕事率の関係(N-W特性図)を図7に示します。エアタービンの最大仕事率は27W程度です。ここで着目して頂きたいのが、最大仕事率にはピークがあるということです。最大仕事率付近の回転速度(この例では20万~35万回転毎分)で切削することが効率の良い切削ということになります。診療中、この回転速度を直接知ることはできませんが、27W発生時の押し付け力(バーを被切削物に押し付ける力)は200gf程度と分かっています。この力はボールペンやシャープペンでの筆圧と同程度ですので、字を書く感覚を意識して使用すれば良いと思います。まとめマイクロモータやエアタービンには各々「T-N特性」や「N-W特性」があり、その特性を理解した上で使用することが肝要です。特にエアタービンの最大仕事率は25万回転毎分付近に発生しますので、その付近の速度(20万~35万回転毎分)を維持しながら切削してください。FGダイヤモンドポイントを使用する際は、十分な冷却スプレーと適切な押し付け力(200gf:ボールペンやシャープペンで書くときの筆圧)を意識することが重要です。※1:「歯科機械のヨシダ七十二年の歩み」発行日/昭和53年2月20日発行/吉田製作所※2:昭和42年にフランスマイクロ・メガ社と技術・販売提携を結んでいることより、“タニット”ユニット:昭和43年(1968年)、“パラ”ユニット:昭和44年(1969年)にはマイクロ・メガ社製が搭載されていたと思われる。※3:「改訂これからの歯科医院快適な診療室をつくる学建書院」(表6-2/回転速度の分類)※4:「改訂これからの歯科医院快適な診療室をつくる学建書院」(表6-3/被削材と切削器械の概念)※5:「改訂これからの歯科医院快適な診療室をつくる学建書院」(表6-4/切削内容と工具および回転数の関係)450004000035000回30000転25000速20000度15000[min -1]100005000動作停止706050仕事率4030[W]20103025仕20事率15[W]105005 10 15 20 25 30005000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 4000000100000 200000 300000 400000トルク[m N・m]回転速度[min-1]回転速度[min-1]図5:マイクロモータT-N特性図5図6:マイクロモータN-W特性図6図7:エアタービンN-W特性図7