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新しいNi-Tiファイル「K3 XF」の使い方K3 XFのすべて寺内吉継医療法人社団インテリデントCT&米国式根管治療センター?神奈川県大和市開業Dr. John MacSpaddenによって開発されたK3ファイルの改良版がTFに続き「K3 XF」として発売された。ファイルの形態はK3そのもと変わりはないがTFで採用されたR相のNi-Tiが使用されている。従って従来のK3との違いは材質的に超弾性領域が広がり耐周期疲労破折が向上したことである。K3XFは、オリフィス・オープナー用として#20~#30、#40/0.12テーパー・0.10テーパー・0.08テーパーがそれぞれラインナップされており、拡大形成用として0.04と0.06テーパーの2種類が#15~#60まで用意されている。通常は、#40、#35、#30、#25/0.06テーパーの4本で根管形成し、0.04テーパーのファイルは細い根管や湾曲根管などの難症例に用いられる。TFとK3との使い分けを整理するためにK3の特徴を挙げてみる。1すくい角(Rake角)はPositiveなので食い込み切削による切削抵抗が低く、切削効率が良い(図2~5)。回転数を高く設定できる(500~600r.p.m.)。2螺旋角は多様角(variable helical angle)で、ファイルの先端部でのテーパー(約31度)は小さく末端方向にかけて大きく(約43度)図1図2~図5すくい角(Rake角)#25/.10 #25/.08オリフィス#40 #35 #30 #25オープナー.06 or .04テーパーK3 XFの標準ファイル。左より#25/0.10、#25/0.08、#40/0.04、#35/0.04、#30/0.04、#25/0.04(ファイル径/テーパー)図2図3図4図5●図2:K3の水平断面(SEM画像)●図3:ファイルの長軸に対して垂直に切断した断面を見た場合。刃面とファイルの半径のなす角を「すくい角」という。また切削対象面に対して直角に引いた線よりも刃面が手前にある場合(図4)を「Positive」といい、後ろにある場合(図5)を「Negative」という。ファイルがPositiveの場合は根管壁に切り込むかたちで切削できるので、大きなトルクを必要せず切削効率は高い。一方でNegativeの場合は、逆に根管壁に押しつける(または擦る)かたちで切削するために圧力がかかり、大きいトルクを必要とする。しかし切削感はスムースなので切削効率が高いと勘違いしやすい。K3やK3 XFはPositiveなので切削効率は高いがコア径が太いため断面が三角形(TFなど)のファイルと比べると柔軟性は劣る。図6・図7図8・図9図10~図13図8リリーフ部ラジアルランド部図6Variable pitch図7 31度43度●図6:#25/0.06テーパーのK3(上)およびK3 XF(下)ファイル。K3 XFファイルの方がR相Ni-Tiを使用しているのでシルバー色が強い。ピッチも先端部では狭く末端部では広いVariable pitch(可変ピッチ)である。●図7:K3 XFの螺旋角を示す。第三ラジアルランド図9サポート部図10図11図12図13●図8:K3の断面。リリーフ部を有する刃が2枚とリリーフ部のない刃が1枚あり、3枚の刃にはラジアルランドを有する。●図9:K3の先端部(SEM画像)。先端は円錐形で刃がついていない。#25/0.06テーパーファイルの拡大写真●図10:K3ファイルの先端部●図11:K3ファイルの中央部●図12:K3 XFファイルの先端部●図13:K3 XFファイルの中央部K3と比較してK3 XFの表面構造は粗造で切削加工の線条痕が少ない(K3の方がシャープである)。R相Ni-Ti切削加工のK3 X Fファイルの方が柔らかいが切れ味は劣ることが推認できる。