ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

Dental Next Action 7

7リスクマネジメント1患者さんを取り囲む環境からリスクを探り把握する●口腔内因子:セルフケアの習慣/悪習癖/咬合状態/硬組織/軟組織●全身的因子:全身疾患(服用薬剤)/身体機能障害(目、耳、手、足)●環境的因子:食生活(飲食回数・飲食内容・規則性)職業、家族、趣味/睡眠時間/嗜好(喫煙)心理的・社会的ストレス2リスク分析した要因が変更(代用)可能か判定3リスクコントロール対策:コントロールの押し付けではなく実践可能な対策を立案する4リスクコントロールの効果を確認するための評価を欠かさないリスクマネジメントを患者ともに把握し、患者自身がリスクコントールを継続することが最も重要となる。8-1症例1・症例に対する術者と患者の共通認識を徹底するための術前診査・診断指尖血清抗体価検査どんな人?(思い)どんな人?(病態)A.aP.gP.iE.c0.45.5-0.1-0.3Examination□硬組織・う蝕(-)・二次う蝕(-)・不良補綴物(-)・歯列不正(-)・咬合状態(+)・歯槽骨隆起(+)□軟組織・口腔前庭の深さ(-)・小帯付着状態(-)・唾液腺開孔部(-)・唾液量(-)・舌機能(+)・口唇閉鎖機能(-)どんな人?(リスク)□歯周組織□全身既往歴・深いポケット(+)・循環器系疾患(-)・アタッチメントロス(+)・呼吸器系疾患(-)・動揺(+)・消化器系疾患(-)・BOP(+)・神経系疾患(-)・歯肉退縮(-)・内分泌系疾患(-)・歯肉異常形態(+)・代謝系疾患(-)・根分岐部病変(+)・投薬(-)・付着歯肉(-)□習慣的要素・歯肉タイプ(Ⅰ)・嘔吐反射(+)□LIFE・喫煙(+)・職業(+)・パラファンクション(+)・生活様式(+)・ブラッシング習慣(+)・家族構成(独身ペット)・食生活(+)・ストレス(+)どんな骨内欠損の形?どんな骨内欠損の形?右上が痛いと言って来院された患者。歯周ポケット測定、指尖血清抗体価検査、ファインキューブによる骨欠損把握などを行ったうえで、歯科医は「歯周基本治療を中心とし、再評価によって歯周外科処置を検討する」こととした。歯科衛生士からは、「歯周基本治療の実施と併用したブラッシングの徹底。禁煙指導、信頼関係の構築」などのアプローチが提案され、共通認識とした。8-2 9症例1・歯周基本治療のみで改善指尖血清抗体価検査などで原因菌を特定し、アタックすることでは効率的、効果的に治療を行うことができる。本症例では、歯科衛生士による歯周基本治療のみでここまで改善した。9フレイルは可逆性10今後の歯科衛生士に課せられる業務加齢QOL低下社会的・心理的可逆性フレイル期栄養の可逆性フレイル期口身体的不可逆性歯の喪失腔フレイル期歯周病・う蝕の増加オーラルフレイル期重度機口腔への関心低下滑舌低下フレイル期能咬合力低下歯科受診中止食べこぼし舌運動力低下セルフケアの悪化わずかなむせ咬めない食品増加摂食量減少摂食嚥下障害咀嚼機能不全心食欲低下身孤食食欲低下サルコペニア機うつ慢性的栄養不良ロコモティブシンドロームフレイル能活動量低下栄養バランス悪化低栄養要介護生活範囲の狭小化体重減少代謝量低下運動・栄養障害疾患・多剤口腔清掃(器質的口腔ケア)から口腔機能回復(機能的口腔ケア)へ口腔清掃(器質的口腔ケア)口腔ケア咬む飲み込む話す笑う口腔周囲筋の運動訓練「舌体操」「顔面体操」口腔機能回復唾液腺マッサージ唾液の分泌が促進され咀嚼、嚥下、発音などの機能(機能的口腔ケア)嚥下促通訓練の衰えを防止脳への適度な刺激をもたらし、顔の表発声訓練情も豊かになる。フレイルは可逆性である。食べこぼしや咬合力低下など、わずかな変化を見逃さなければ、訓練で機能を回復することができる。患者の高齢化と共にオーラルフレイル予防(味覚や発声・嚥下・運動訓練など)、今後歯科衛生士が求められることは益々大きくなる。歯科衛生士も多岐にわたって患者にアプローチして欲しい。まとめ歯学、歯科衛生士はこれからブルーオーシャンの時代メタボリックドミノでは、歯学は医学の上流に位置し、歯学=予防医学として、咀嚼機能向上と抗加齢効果が健康寿命を延ばすと言われている。医科や栄養士と連携し、歯学、歯科衛生士はこれからブルーオーシャンの時代となるだろう。ブルーオーシャン戦略とは:競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきという経営戦略論。