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概要

Dental Next Action 7

世界が注目するUMAMIを活用した味覚障害・ドライマウス治療笹野高嗣東北大学大学院歯学研究科口腔診断学教授/日本口腔診断学会理事長「食事が美味しくない」「食事が楽しくない」「濃い味付けが好みとなった」という言葉をチェアサイドで聞くことはないだろうか?これは味覚障害のサインである。難聴や老眼などと異なり味覚障害は自覚がないため、病院を受診することは少なく、潜在的な味覚障害患者は3,000万人とも推定されている。味覚障害の大きな問題は、食事が美味しくないため食欲がなくなり、体重減少、抵抗力の減少となり体調不良になっていくことである。味覚障害は「全身の健康にかかわる重要なサイン」として認識し、歯科から患者さんへアプローチしていって欲しい。1高齢者の味覚と体調2味覚障害の実態3うま味検査法の開発異常なし63.4%味覚障害36.6%味覚正常者n = 53体調不良5.7%体調良好94.3%味覚障害者n = 67体調良好55.2%体調不良44.8%(平均80歳,n=71)(平均74歳,n = 120)佐藤,笹野:日本口腔診断学会誌, 2013umami sweet umami salty umami sourumamibitterうま味試薬:グルタミン酸ナトリウム濃度は6段階(1mM, 5 mM, 10mM, 50mM, 100mM, 200mM)Development of an Umami Taste Sensitivity Test and its Clinical Use.Satoh-Kuriwada S, Sasano T et al. J. Health Sci 2009.味覚障害はなかなか自覚することが難しく、潜在患者は3,000万人とも言われている。味覚障害と体調には相関関係がある。「濃い味付けが好みとなった」など周囲が気づいてあげることが重要である。味覚障害の検査では、従来甘み・苦み・酸味・塩味を用いて診断してきたが、研究の結果うま味を感じるかどうかが重要であることが判った。4うま味障害5うま味を感じる舌の部位異常なし84%うまみ障害16%味は分かるが、美味しくない504030201001舌前方2 3 4 5 650舌後方4030201001 2 3 4 5 6504030201001若年者高齢者軟口蓋2 3 4 5 6Sasano T et al., Important Role of Umami Taste Sensitivity in Oral and Overall Health.Current Pharmaceutical design. 20. 2750-2754, 2014.甘み・苦み・酸味・塩味はわかるのに、うま味だけが判らないという患者が16%いることは判った。これが「食事が美味しくない」「楽しくない」という患者の原因である。うま味は、舌の前方よりも後方・軟口蓋で強く感じることが判明した。6味覚伝導路7味覚障害と唾液の関係第二次味覚野嗅覚視覚第一次味覚野視床味覚野気分感情記憶唾液分泌←唾液線味覚情報唾液核孤束核↑口腔感覚→内臓感覚(ml/10min)総14唾12液分10泌量(8ガム6テ4スト2)0味覚正常者(n=45)*p<0.01味覚障害者(n=26)Sasano T, et al. Biol Pharm Bull 2010.味覚情報は味蕾から延髄に伝達される。延髄は口腔感覚の近くにあるため口腔の変化に敏感である。例えば「義歯を入れたら味が変わった」訴えはもっともな感覚である。さらに味覚は、延髄から視床味覚野→第一次味覚野→第二次味覚野に伝わる。「味覚は総合感覚」である。唾液の分泌量は、味覚と大きな関わりを持つ。積極的に唾液分泌を促すことは味覚を正常に整えることにも貢献する。