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概要

DENTAL PRENEUR 2017 Summer

フィリオの応用は半導体レーザーの特性からLLLT作用や光線力学療法(PDT)としての応用が中心となる。特にLLLT作用としての疼痛緩和に効果を示し、照射部位に対して2W 30~60sec(60J~120J)を目安として照射する。我々の臨床研究では歯科衛生士が行ったスケーリングや漂白後の疼痛緩和に関して、コントロール群と比較してフィリオでレーザー照射した群は有意差を持って疼痛緩和の効果を示し、患者の負担軽減に活躍している(図8)。また骨再生療法やインプラント治療にも有効で粘膜の上から同様に照射できる。図9aにはラット脛骨にチタンインプラント埋入後、フィリオを照射した時の除去トルク値の実験結果を示す。レーザー照射したラット脛骨では対照群に比較して有意に高いトルク値を示した。これらの結果は早期にオッセオインテグレーションを得るのにフィリオが有効であることを示している。しかし、骨組織に対しての過照射は逆に骨組織を減少させるため注意が必要である。我々の実験ではトータルエネルギーが400J~600Jを超えるとオーバーヒーリングになる可能性が示唆されており、今後さらなる研究が必要である。さらにヒトの培養歯根膜細胞にフィリオを照射(200J)するとセメント芽細胞への分化マーカーであるCEMP-1のmRNAの発現が約2倍に上昇することも確認している(図9b)。これらの実験結果からフィリオが術後の疼痛緩和や骨再生、さらには歯根膜の再生に応用可能であることを示唆している。PDTとフィリオの関係は重要で、歯周ポケットや根管内の滅菌、消毒に色素との組み合わせで行う治療方法(PDT)のエビデンスと方法の確立が急がれる。これまでに我々はチアジン類の色素としてトルイジンブルーがフィリオの波長に有効であることや、ピオクタニンブルーやヨードにも吸収されることを確認している。今後さらに滅菌、消毒作用に対する効果を調べる予定である。炭酸ガスレーザーであるネオスと半導体レーザーのフィリオの特性を考えた場合、なぜ二波長が必要であるか理解されたと思う。お互いの欠点を補い、長所を伸ばすのがネオスとフィリオである。一般にはネオスで行った治療後のフォローをフィリオが行うと考えれば分かりやすい。高性能、高出力で表面吸収型の炭酸ガスレーザーと深部到達型の半導体レーザーであるから安全面の配慮はより注意が必要である。保護ゴーグルは絶対に必要であり、波長にあったものを選び、レーザー管理区域の設定を含んだレーザー安全管理を徹底して使用すべきである。終わりに違和感なしホワイトニング直後p<0.05 p<0.05わずかに違和感もう少し違和感■コントロール群 ■レーザー照射部121086420(人)違和感なしスケーリング直後わずかに違和感もう少し違和感■コントロール群 ■レーザー照射部さらに違和感かなり違和感これ以上ない違和感80706050403020100(%)さらに違和感かなり違和感これ以上ない違和感図8フィリオを用いて漂白後とスケーリング後の疼痛緩和に対する効果をVAS法にて調べた結果を示す。漂白とスケーリング処置の両方に効果が確認された。Removal torque(N cm)Cont32.521.510.50LaserCEMP-1 mRNA Expression in PDL CellsCont(0J)32.521.510.50Laser (200J)p<0.05 p<0.05Removal torque(N cm)Cont32.521.510.50LaserCEMP-1 mRNA Expression in PDL CellsCont(0J)32.521.510.50Laser (200J)p<0.05 p<0.05図9a bラット脛骨にチタンインプラントを埋入した後、フィリオを照射した方が除去トルク値が有意に高い(a)。歯根膜細胞を培養しそこにフィリオを照射するとセメント芽細胞の分化マーカーであるCEMP-1のmRNA 発現が亢進された(b)。5