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概要

DENTAL PRENEUR 2017 Summer

H-E 染色HSP60レーザー「表面吸収型レーザー」と言われる所以である。一方、半導体レーザーは炭酸ガスレーザーに比較して波長が短い性質から水に吸収されにくく、組織の深部まで到達するタイプのレーザー「深部到達型レーザー」である( 図4)。図5はラットの肝臓に炭酸ガスレーザーと半導体レーザーを同じエネルギーで照射したもので、レーザーが細胞活性に作用すると発現するヒートショックプロテイン60(HSP60)を見たものである(矢印)。炭酸ガスレーザーは照射表面の浅い部位にHSP60の発現があるが、半導体レーザーではHSP発現が深部に見られる。これは半導体レーザーが組織深部まで到達していることを示し、波長によってレーザーアップルの形態が異なることを意味している。レーザー効果の到達する深度が異なることは、ターゲットとなる組織や器官によってレーザーを使い分けることができるわけである。例えば粘膜や露出した骨表面などに対する処置は炭酸ガスレーザーが有効であり、歯根膜や粘膜下に存在する骨組織などは半導体レーザーが有効になる。このようにネオスとフィリオの二波長をターゲットの組織によって使い分けることが重要になる。ネオスは25Wという高出力炭酸ガスレーザーである。さらに円形スキャニング機能※を有することから効率よく粘膜の切開・蒸散ができる。特に生理食塩水の噴霧により、高温によるサイドエフェクトを極力抑制することができる。我々はHLLTとしてのネオスの照射条件はSP1, 10~25Wのパワーで30msecの休止、1~2msecリピート照射を行う。これにより粘膜は炭化層を形成しないで切開が可能であり、さらには無麻酔か極少量で切開が可能である。粘膜以外にも根尖部の切断(図6)や歯石の除去にも使用できる。歯石除去では照射後必ず歯根表面の凹凸を除去するためにルートプレーニングが必要となる( 図7)が、レーザーによる殺菌効果が期待出来る。LLLT作用としてはCW,0.5Wの照射で、露出した骨表面や粘膜の切開後の治癒促進に応用している。炭酸ガスレーザーと半導体レーザーの効果的な使用方法図6ネオスで歯根尖端部を切断する。レーザー照射した切断部位。根尖部から破折したファイル( 矢印)を除去する。抜去歯に対してネオスで歯石除去を行った写真を示す。表面には凹凸が生じるため、ルートプレーニングは必要である。図7炭酸ガスレーザー半導体レーザー表皮層真皮層皮下組織図4 図5炭酸ガスレーザー(10. 6μm)半導体レーザー(0.808μm)皮膚における炭酸ガスレーザーと半導体レーザーの深達度を示す。ラット肝臓における同じエネルギーで炭酸ガスレーザー( 上段)と半導体レーザー照射を行った( 下段)。左はH-E 染色、右はHSP6 0 の発現を示す免疫組織化学染色を示す。矢印はHSP6 0 の発現を示す。炭酸ガスレーザーと半導体レーザーでは発現の深度が異なる。※円形スキャニング機能:3mm・5mm の自動円形スキャニングができ、ムラなく均一な蒸散が行える。4