Dental Products News 特別号

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日本が元気であるためには歯科医師の力が非常に大きい!根本治療と予防医療には健康の土台を築くことが必要です。その要は口腔と咽頭であると考えています。歯周病と糖尿病の関係はよく知られることですが、最近欧米では、7ヵ国4,000人の調査に基づき「口腔ケアは血液透析患者の生命予後を改善する」とする論文が発表されました。調査項目は、残存歯数、う蝕数、歯みがきの習慣、フロスの使用、歯科衛生に費やす時間、歯ブラシを交換する頻度、などです。いずれの項目でも有意差が認められたましたが、特に残存歯数、う蝕数、フロスの使用では顕著でした。非常に示唆に富んだ論文だと思います。のどが痛い時、その震源地は鼻の裏側にある上咽頭にあります。したがって、風邪の予防にうがいが奨行されますが実際にはほとんど効果がありません。上咽頭には鼻と口から入る外気が最初に通る関所のようなもので、上咽頭部の炎症は全身に様々な影響をもたらすことが確認されています。私が三大病巣感染と考えている扁桃病巣感染、歯性病巣感染、慢性病巣感染は、相互に密接な関係がありその中心には口呼吸の問題があります。唾液中の細菌数は健常者に比べて慢性上咽頭炎の方が少ないですが、それは健康な細菌叢が崩れていることを意味しています。三大病巣感染が形成されるプロセスにおいて口呼吸の問題は非常に重要であり、ぜひ歯科関係者が積極的に関与することをお願いしたいと思います。高齢化が進む中で日本が元気であるためには、歯科医師の皆さんの役割が非常に大きいと考えています。堀田修先生生活習慣病は益々増加する。だからこそ歯科医師の力が必要!宮坂勝之先生私が考える歯科医療の課題は、医師や看護師の歯科知識が一般人と変わらないことです。そして、欧米に比べ予防のために歯科健診を受ける患者さんは圧倒的に少なく、手術患者の70%以上が歯周炎、歯周病を放置しており、そのことを患者さんも社会も問題にしていないことがさらに大きな問題です。今後、生活習慣病はますます増えますから、病院の医科と一般歯科の関係がますます重要になります。しかし、大病院でも一般歯科があるところは少ない上に、近隣の一般歯科と連携を進めようとする動きはまだ少ないです。歯科大学の医科歯科連携も掛け声だけで教育が十分とは言えませんし、研究レベルの取組みばかりでなく日常臨床でもっと実践されることを望みます。医師の側は「糖尿病ガイドライン2013」の中で医師に対し、歯周病のある糖尿病患者は定期的に歯科を受診するよう明記されているにも関わらず、あまり意識していません。安きに流れがちな患者さんに対して医科歯科双方が消極的な面があることは否定できないと思います。歯科医は必要とされている多くの患者さんが放置されているのだという意識で未開の領域に目を拡げ、国民の健康に尽くしていただければと思います。周術期患者も一般歯科治療と一緒!共に患者貢献への道を考えて行きましょう聖路加麻酔科では術前口腔内診察で次のようなことを行っています。1麻酔科管理全症例の口腔内診察2動揺歯の固定3歯石除去とブラッシング指導4マウスピースの作製5矯正治療中の患者へ受診勧告6舌・歯肉粘膜等の腫瘍患者を口腔外科へ紹介これらのことを実施していると、予想以上に患者も処置も多いので、開業歯科医の協力は必須となります。そこで総合病院の麻酔科からお願いしたいことは、具体的には、動揺歯の固定や歯石除去、ブラッシング指導やマウスピースの作製などの処置はやっていただきたいといいうことです。日野原名誉院長は「患者の生活歴を学ばなければ医療はできない」と常に話しています。患者の状況が口の中から見えてくることをぜひご理解いただきたいと思います。潜在的に歯科治療を必要とする患者さんは莫大な数に上ります。患者さんがいないのではなく受診しないだけなので、共に患者貢献への道考えていきませんか。朝比奈輝哉先生25