Dental Products News 特別号

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ダイジェストで見る12/13日骨・筋肉のバランス。呼吸も食事も全身の健康維持から。人体には200ほどの骨がありますが、顎骨は歯の存在によって外形を大きく変えます。その理由は歯槽骨の内部形態にあります。歯の成長とともに歯を支えるために格子状の骨の内部では骨梁が増え、歯を失うと骨梁も減って、結果的に顎骨の形態が大きく変化するのです。ところが筋肉の付着位置はそのままですから、義歯などを作る場合にはその点を考慮することが必要です。若いときは白筋(速筋)と赤筋(遅筋)がバランス良く働いています。のど仏はサスペンダー状の舌骨上筋でぶら下がった状態になっていますが、加齢とともに油断していると、40代後半から50歳にかけて筋肉のタンパク量が減ったり筋線維特性(白筋と赤筋のバランスなど)が変化して弱り、高い位置にあったのど仏がだんだん下がってきて声も低くなってきます。この時気をつけなければならないのは誤嚥のリスクです。若いときと同じ位置まで持ち上げなければ正しい嚥下ができないわけですから、位置を維持する必要があります。そのため筋肉を鍛える必要があります。呼吸も食事も特定の筋肉だけではできませんから、全身の健康維持が大切になるわけです。阿部伸一先生口の治療に専念されているときも裏側の気道にも注意を!國弘幸伸先生下咽頭では気道と食道が交差します。無菌でなければならない気道のすぐそばを汚い食物が通るため、誤嚥による感染を防ぐための精巧な仕組みがそこにはあります。口腔ケアの重要な目的の一つは誤嚥を防ぐことです。口の機能を生命の維持という観点から順位づけるならば、摂食、呼吸の代替・補助、構音という順になるでしょう。ただしあくまでも人間にとって最も安全な呼吸法は鼻呼吸ですから、あくまでも鼻呼吸を維持しながら口をケアするということが非常に重要です。口の治療に専念される時でも常に裏側にある気道が開いているかどうかを配慮しながら進めていただきたいと考えています。最後に、上手くいった100の症例よりも、一つの合併症を経験する方がはるかに勉強になると思っています。しかし、残念ながらインプラントでのトラブルは、同じドクターが同じ失敗を繰り返し、リピーターになっていることが少なくありません。われわれは臨床家である限り合併症から逃れることはできませんから情報交換が必要ですし、自分の技量を超えたことは絶対にやらないという基本的な配慮が必要であろうと思います。耳鼻科医と歯科医、口腔外科医のさらなる連携を望みます。病巣疾患の概念がなければ21世紀の治療は成り立たない。歯科との連携においては、一般歯科、矯正歯科、小児歯科など各先生によってアプローチの違いはありますが、口呼吸の弊害と鼻呼吸の重要性については共通の認識があります。口呼吸が全身の免疫系や調節系に甚大な影響を及ぼすことはまだ十分認知されていないので、連携の中で治療の経過報告や情報開示などを含めた相互のフィードバックが極めて重要と考えています。医科間では、IgA腎症患者の上咽頭治療は診診連携を行っているほか、病診連携も徐々に増えています。また学校歯科医と学校耳鼻科医の連携により学校教育の場で「あいうべ体操」など鼻呼吸の啓発も進めています。歯科と医科では教育の違いから共通言語が少ないこと、実臨床での接点が少ないこと、口腔を診るという共通点があるにも関わらず相互理解の意識が低い、などの問題があります。大切なことは、分かりやすい言葉で紹介状を書き、必ず治療経過をフィードバックしあうことです。病巣疾患制御の観点からの歯科・医科連携の課題として、IgA腎症、掌蹠膿疱症、関節リウマチなどの一次疾患は主として歯科領域と耳鼻科領域に関連しますから、自らが病巣疾患を制御するキーパーソンであると自覚することが重要です。そのためには相互の協調が大切で、一方通行にならないフィードバックが必要です。歯科医の皆さんとの交流を通じて、今後、病巣疾患を制御する上では歯科医、耳鼻科医、内科医、皮膚科医などが共通の疑念を持つことが重要であることを痛切に感じています。歯学部に在学している姪には、「病巣疾患の概念を持たなければ21世紀の歯科医療についていくことはでない」と話しています。これはいま第一線で活躍している歯科医師の方ならばご理解いただけることと思っています。田中亜矢樹先生24