Dental Products News 特別号

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全身疾患でも「口という命の上流に問題がないか」と調べるムーブメントは必ず来る!医科と歯科では予防に対する概念がまったく違います。医科における予防とは早期発見だとよく言いますが、それはすでに病気にかかっているということです。医科でがんを予防することはできませんが、歯科では本当の一次予防に取り組むことができます。ある学校歯科医の先生が「あいうべ体操」を取り入れたことによって、子どもたちの欠席日数が減ったというのはその好例です。奥田克爾先生は、「原因が不明ならまず口を疑え」と仰っています。たとえば、原因不明と言われていたリウマチは、この5年ほどの間に口が原因であるという病因論がはっきりしてきました。したがって、リウマチの次のターゲットはPg菌であり、アルギニンをシトルリンに変える元を絶つことです。さらに、皮膚炎、関節炎、腎臓病が口の中の炎症に起因することも分かってきました。医科で原因不明と言われてもあきらめずに歯科で病巣を検査してもらうことになれば、歯科は今の数では足りないでしょう。これはあくまで正しい知識の普及とレベルアップが前提ですが、原因が不明なときは一度歯科医院に行って、口という命の上流に問題がないかを調べてもらうというムーブメントが必ず来るはずです。その日に備えてしっかり勉強していただければと思います。今井一彰先生岡崎好秀先生人間本来の捕食・咀嚼の大切さを問う!岡崎先生は長きにわたり障害を持つ子供達の歯科治療を行ってきた。その経験を基に眼前にある事象を独自の考えで深く掘り下げている。ウインストン・チャーチルの言葉「過去をより遠くまで振り返ることができれば未来をより遠くまで見渡せることができるだろう」を引用。更にダーウィンの進化論から医療を捉えている。これらを踏まえ、口唇閉鎖不全、過蓋咬合の増加に警鐘を鳴らし、人間本来の捕食、咀嚼の大切さを主張されている。歯科衛生士とは、「患者の口の闇を照らす智慧の担い手である」。医科歯科連携といってもなかなか自ら動くという実践に結びつけることは容易ではありません。大切なことは、医療・福祉関係者は歯科医院に行って自分の口のチェックを受け、歯科関係者は自分の体を病院でチェックすることからではないでしょうか。自らの体験でものの見方が変わり、患者さんへの説得力も増すと思います。昨年「日本歯科医師会雑誌」の誌上で、「医科と歯科の連携だけでは絶対的に足りないものがある。患者の向こうには家族があり、その彼方には社会が広がっている。医科歯科連携を緯糸(よこいと)とすれば、社会は経糸(たていと)である。緯糸と経糸が通い合うことで、初めて糸は布となり、その織り模様は人々が健康な口(健口)を通して健やかさと幸せ(健幸)に至るための智慧を語り始める。」(日本歯科医師会雑誌Vol68 No12015-4)と述べました。ここで言う〝智慧〟のルーツは密教にあり、真理(大日如来)の光は分け隔てなく全ての人を照らすという教えが患者さんに接する基本につながるものと強く心を動かされたのです。また、ユダヤ人の「タルムード」という聖典では智慧と知識の違いについて、「暗がりにある知識という名の本を、明るく照らして人々に読めるようにするのが智慧である」としています。私は人々を幸せにするものが智慧だと解釈しています。われわれ医療関係者が目にする教科書はすべて知識です。それだけでは患者さんの幸せには結びつきません。大事なことは学んだ知識を患者さんにフィードバックして、例えばブラッシングという知識をもとに歯周病を改善させることが智慧なのです。したがって、歯科衛生士は正に患者さんの口の闇を照らす智慧の担い手となるわけです。すでに予防の重要性を理解している歯科関係者と本格的な連携を図ることができれば、多くの国民のみらいを救うことができると考えています。西田亙先生23