Dental Products News 特別号

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歯科医院だからこそ出来る糖尿病予防~健口から健幸へ~医科西田亙にしだわたる糖尿病内科院長/日本糖尿病学会専門医歯周病と糖尿病は類似点が多い。1生活習慣病である2食習慣、喫煙の影響が大きい3非可逆性の疾患である4セルフコントールが基本である5患者教育が重要6治療上、両輪の関係にある糖尿病と歯周疾患の関係を把握することで、歯科医院における口腔ケアが重要な意義をもつことを理解して欲しい。症例1.歯周治療を契機として劇的に改善した糖尿病の一例[42歳男性]大学病院の糖尿病外来にてインスリン治療(1日4回の皮下注射)を受けていたが、血糖コントロール不良の状態が続いていたため(HbA1c 10.0%)、入院した。入院後、研修医から「歯茎からの出血で毎朝枕が赤く染まっている」と報告を受け、同病院口腔外科にて歯周治療(スケーリング)が2回行われた。歯周治療施行後より、血糖値は次第に改善し、インスリンや内服薬の量が減少していった。当初、この患者は、「脂っこいもの、甘いものが好物」ということで、何度食事指導をしても改善がされなかったが、退院後しばらくすると「歯がきれいになったら、納豆も野菜も美味しい」と言われ、歯周治療により味覚まで改善したことに驚いた。多くの内科医や管理栄養士は、口腔内を一瞥することなく、決まり文句のように「これを食べてはダメ、野菜を食べましょう」と指導している。本症例は、医科であろうとも味覚障害や義歯不適合、咬合不全の有無など、口腔内の状態にまで配慮する必要があることを教えている。インスリン総量(単位)上顎歯周治療下顎歯周治療3022.5157.501234567891011121314入院後経過日数300300240240180180120120606000朝食前朝食後昼食前昼食後夕食前夕食後朝食前朝食後昼食前昼食後夕食前夕食後血糖値(mg/dl)歯周治療を契機として糖尿病が劇的に改善した症例。血糖値(mg/dl)症例2.インプラント周囲炎から敗血症性骨髄炎を併発した高齢者糖尿病の一例[71歳女性]左人工股関節再置換術のため大学病院整形外科に入院。糖尿病は近医で内服加療中であった。手術後、CRPが徐々に上昇、手術後に敗血症性骨髄炎を発症し、ICUに入室、奇跡的に一命を取り留めた。「無菌的手術を行ったにも関わらず、なぜ敗血症になったのか?」その原因は、11年前に埋入された下顎インプラントの周囲炎であることが明らかになり、即座に抜去された。第2回目の左人工股関節再置換術は第1回同様の手技であったにも関わらず、発熱することなく平穏無事な経過を辿った。たとえ血糖値が正常であっても、口腔内に感染源が存在すれば、手術などのストレスが加わった際、命に関わる感染症を併発する恐れがあることを教える症例であった。CRP (mg/dl)3022.5157.503022.5157.50第一回左人工股関節再置換手術(2008/12/11)HbA1c 5.8%0123456789 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20術後経過日数第二回左人工股関節再手術(2009/7/16)HbA1c 5.3%敗血症性骨髄炎インスリン(単位/日)10